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【選挙特集】佐藤嘉倫教授に聞く ~投票の際の心理とは~

 人々が投票をする際、どういったことを重視する傾向にあるのか。本学文学研究科で行動科学を研究している佐藤嘉倫教授に聞いた。


 投票に行かない有権者の心理について、佐藤教授は二つを挙げた。一つはコストとベネフィット(利益)が見合わないと考えていることだ。投票しようとしても、政党や候補者の政策が自分の生活にどう関係するのか分かりにくい。そのことが人々を投票所から遠のかせている要因なのだという。

 もう一つは与党支持者にとってはベネフィットが生じる確率が非常に高い一方で、野党支持者にとってはその確率が非常に低いこと。佐藤教授は「有権者の政治的有効性感覚が弱くなっている」と話す。投票を通じて政治に影響を及ぼすことができる、という人々の感覚が薄れてきていることに加え、「55年体制」の崩壊で、今の政治は対立軸が見えづらくなっている。その中で、圧倒的な勢力を持つ自民党と野党との力関係が崩れているため、与党支持者には「自分が投票に行かなくても、どうせ与党が勝つ」、野党支持者には「投票に行ってもどうせ結果は変わらない」という心理が働く。

 特に、若い世代が投票に行かない理由として、佐藤教授は「政治との心理的な距離が遠いからでは」と指摘する。同世代の政治家がおらず、年金問題も遠い将来のことのように感じて、身近なものとして捉えられない。

 佐藤教授は投票率の向上には、有権者教育を充実させることが大切だと語る。米国では大統領選の候補者が大学に出向き、学生と意見を交換することがある。日本においても、政治的中立を過度に意識するのではなく、政治家との対話や投票の仕方といった実践的な有権者教育を小・中・高で充実させることが重要だという。また、佐藤教授は「投票のコストを下げるべきだ」とし、電車に乗っている間にスマートフォンで投票できるようにするような制度の導入も提案する。
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