【インタビュー】化粧と心理学 スキンケアやメーキャップ 「いやし」「はげみ」に ~おすすめはプロフェッショナルに直接教わること~
大学入学を機に化粧を本格的に始める学生は多い。スキンケアやメーキャップにはどのような心理学的な効果があるのか、メイク道具を選ぶ際に注意すべきことは何なのかなどを、本学が展開するMOOC(大規模公開オンライン講座)にて「化粧で学ぶ心理学」を担当している、本学大学院文学研究科心理学研究室の阿部恒之教授に聞いた。
あべ・つねゆき 東北大学大学院文学研究科心理学研究室教授 (写真は阿部先生提供) |
―スキンケアやメーキャップによって、人の心理状態はどのように変化するのか
自尊心、私的自意識(自分の内面への関心)、公的自意識(他人の目に映る自分に対する意識)の3つの心の役割と、スキンケアとメーキャップは深く結びついています。
朝、スキンケアをしてメーキャップをすることは、公の顔を作ることで心をきゅっと結んで弾みをつける―自分と社会にきちんと向き合うための自分を構築することで、「はげみ」につながります。一方、会社や学校から帰った後にメイクを落としてスキンケアをすることは、自分に触れたり、鏡で自分を見たりすることで素に戻る、私の顔を取り戻して「いやし」を得ることに役立っているんですね。
図 化粧の役割と心理学的な構造 |
スキンケアは自分の肌の健康を維持・管理することで「慈しむ」行為であり、心のアンテナを自分に向け直します。それが私的自意識の顕在化・活性化につながり、「いやし」になります。一方、メーキャップは「飾る」行為であり、心のアンテナを正しく外界に向け直して公的自意識を顕在化させ、きちんと社会と
―スキンケアやメーキャップをする際、注意するべきことは
YouTubeなどで情報収集をする際は、科学的根拠がその背景にあるのか、さらにその人のオリジナルのものであるかという2点についてきちんと吟味することが大事だと思います。
そこでおすすめなのが、プロフェッショナルの方に一度直接教わることです。自転車に乗る練習と同じで、教えてくれる人がいると上達が早まります。化粧品メーカーさんが開催している無料の公開講座もありますので、ぜひ活用してみてください。
たまには、デパートなど専門の店員さん(BC)がいるところでメーキャップ商品を買って、じっくり教えてもらうのもよいでしょう。少々割高に思えるかもしれませんが、個人教授の授業料と考えれば高くはないと思います。
化粧は、決して義務ではありません。楽しめない人は別にやらなくもよいのです。しかし、「いやし」や「はげみ」の感情調節作用を実感できる人は、日々を豊かにする習慣として楽しんでほしいと思います。
■本記事では、スキンケアとメーキャップの総称を「化粧」としている。