【研究】教育学研究科 伊藤文人講師 若手科学者賞を受賞
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本学大学院教育学研究科の伊藤文人講師が、令和6年度科学技術分野の文部科学大臣表彰で若手科学者賞を受賞した。ヒトのコミュニケーションにおける認知神経基盤の研究が評価された。伊藤講師は同賞について「東北大でも理系の先生ばかりが受賞されている中、教育学研究科として受賞できたことが何よりうれしい」とコメントした。
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賞状を手にほほ笑む 伊藤講師(同氏提供) |
同賞は、高度な研究開発能力を示す顕著な研究業績を挙げた40歳未満(出産・育児により研究に専念できない期間があった場合は42歳未満)の研究者に贈られる。受賞者は4月に発表された。本学からは伊藤講師の他に、学際科学フロンティア研究所や工学研究科などに所属する9名が受賞した。
伊藤講師は2020年、人が「他者からどれくらい好かれそうか」を予想する際、「自分がその他者をどのくらい好きか」を基にしている可能性があることを明らかにした。従来の脳科学研究では実験に用いる機械の都合上、「自分が相手にどのような印象を抱くか」という一方向の情報伝達しか測定できず、双方向で行われるリアルなコミュニケーションを捉えることに限界があった。伊藤講師は、MRI検査機器を用いた脳活動の測定と、被験者同士が実際に話す会話課題を組み合わせた=図=。「自分が他者をどう思うか」という能動的な方向に加え「他者が自分にどのような印象を抱くか」という受動的な方向を検討し、一つの研究で双方向のやり取りを調べることができた。
同賞において、人文社会系の分野が関わる研究が評価された受賞者は少数だった。伊藤講師は脳科学という分野を「人間に関わる学問全てに関わってくると言っても過言ではない」と捉える。続けて、所属する教育学研究科について「将来の教育に脳科学の視点も重要だろうと、自分を教員として迎え入れてくれた、その懐の深さに強く感謝している」と語った。