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【書評】『日本の伝統』 岡本太郎 梅雨の書評祭り 2/4

「自分が法隆寺になればよいのです。」。私が初めて読んだとき、この奇妙な表現に魅せられた。



伝統と聞くと何を思い浮かべるだろうか。厳格で敷居の高い印象を持つに加え、高尚で肥沃な知識をもつ人たちの専有物に見えることが多い。



 岡本太郎著『日本の伝統』はこの因習に立ち向かい日本の伝統を徹底的に見返していく。伝統主義者への非難に始まり、彼らの振りかざす知識は、伝統を本質から遠ざけていると糾弾する。



 一方で、伝統主義者が伝統について嘆くことを無責任だと述べながらも、戦後の伝統の断絶はたしかにあると筆者は認めている。しかし、その断然に反発し、より優れたものを作り、それを伝統に押し上げる不逞な気迫が必要と力説する。すなわち、「法隆寺は燃えてケッコウ」、「自分が法隆寺になればよい」という話になるのだ。



ぜひとも岡本太郎の独特で痛快な文体を味わってほしい。私たち世代も伝統を、きっと新鮮に捉えられるはずだ。



(小宮正希)





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