【仙台市博物館 特別展】仙台藩伊達家と宇和島市 意外な「縁」が
特別展「伊達を継ぐもの―仙台藩を巣立った殿様たち」が、今月4日から来月24日にかけて仙台市博物館にて開催される。同展は、仙台市・宇和島市歴史姉妹都市提携50周年を記念したもの。テーマに込められた思いや展示の見どころなどについて、仙台市博物館学芸員の佐々木徹さんに話を聞いた。
仙台市と宇和島市は、伊達政宗の長男である秀宗が宇和島藩祖となって以来、ともに城下町として繁栄してきた歴史がある。歴史姉妹都市の提携は、そうした歴史的基盤を背景に結ばれた。提携から50周年となる今年の特別展では、宇和島藩をはじめ、仙台藩伊達家の息子が跡を継いだ一関藩、刈谷藩、佐野藩にスポットを当てる。佐々木さんは「仙台藩を巣立った後、それぞれの藩を治める一方で彼ら藩主には、自分を『伊達を継ぐもの』と捉える意識があった」と語る。
江戸時代、大名たちは、ほかの大名家との婚姻や養子縁組によって家を維持していた。仙台藩も例外ではなく、各藩と結びつき、支え合うことで家を次世代につないできた。同展では展示を通してその軌跡をたどることができる。
「伊達宗贇所用 桜鋲紺糸威二枚胴具足」と「田村村顕所用 紺糸威胴丸具足」もその一つだ。一関藩の第三代藩主である村顕は、仙台藩伊達家出身で宇和島藩三代藩主となった宗贇の息子。遠く離れた地にあった親子の具足が、今回展示を通して巡り合う形となる。
色鮮やかな小袖や豪華な蒔絵の施された乗物など、女性に関わる資料も展示される。女性は当時、家の存続のため非常に重要な役割を担っていた。ほかにも、仙台藩三代藩主伊達綱宗が制作した小さな面・指面も見ることができる。
重要文化財でもある「豊臣秀吉像」も見どころだ。年代がわかる秀吉の肖像画としては最も古いもので、歴史資料としての価値も高い。普段は宇和島伊達文化保存会に所蔵されており、仙台での展示は10年ぶり。秀吉の肖像画が宇和島に伝わっている背景には、伊達家と秀吉の深いゆかりがある。宇和島藩初代藩主である伊達秀宗の「秀」の字は秀吉からもらったものだ。政宗も含め、伊達家は秀吉と深いつながりがあった。
佐々木さんは「現代と同じように、地域はそれ単体では存続できない。他地域とのつながりの重要性を実感し、自分事として捉えてもらえたら」と語った。