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【オープンキャンパス2019・教員インタビュー】理学研究科数学専攻・本多 正平 教授

 理学研究科数学専攻の本多正平教授は、リーマン幾何学を研究している。昨年、幾何学において目覚ましい成果をあげた人に贈られる幾何学賞を受賞した。一方で、分かりやすく興味を引く授業は、教室から学生が溢れるほどの人気である。研究者と人気教授としての二つの面を併せもつ本多教授に話を伺った。


―研究内容は

 一言で言えば、図形を扱う幾何学を研究しています。二つの図形をどんな基準で同じとみなすかによって異なる幾何学があります。例えば「トポロジー」と「リーマン幾何学」と呼ばれる二つの幾何学です。トポロジーとは、簡単に言うと、この世にある物は全て粘土でできていると思う、という考え方です。例えば、コーヒーカップとドーナツは同じものとみなせます。カップの取っ手と、ドーナツの輪っかが対応していて、コーヒーカップを粘土のようにぐにゃぐにゃ動かすことでドーナツにすることができるからです。

 それとは対照的に、リーマン幾何学は、物の形や大きさを正確に測る幾何学です。コーヒーカップとドーナツはトポロジーでは同じですが、リーマン幾何学では違う図形となります。私の研究分野は主に後者ですが、トポロジーを使うこともあります。

―数学者になった理由は

 中学生の時は数学が全くできず、先生からは「公式や解き方を覚えなさい」と言われていました。覚えることばかりしていると、忘れたときに解けず、なぜそうなるのかと疑問に思っても理由が全く分からず、何をやれば正解かの基準がはっきりしない数学はつまらないと思っていました。一方で、高校受験が近づいてきたときに、改めて自分で一からしっかり勉強してみると、実は教科書にちゃんと説明が書いてあることに気づき、自己完結する理解ができてしまうことに衝撃をうけました。「なぜなのか」を大切にして、自分で一歩ずつ理解していくという学問に魅力を感じて、数学者になりました。

―高校数学と大学数学の違いは

 多くの場合高校までは、計算をして問題を解き正解することで、理解したとみなされていると思います。一方で大学では、そもそも理解することが難しく、最初から何を言っているのか全く分からないと感じることが多いと思います。高校までの、悪く言えばパズル的な問題を解くことの延長線上に大学の数学はありません。大学の数学は論理をより重視していると言えるでしょう。

 一方、高校の数学は幅広く学べる点が重要だと思います。さまざまな概念や、偉大な定理を学ぶことはもちろん重要ですし、特に微分積分などは計算できるようになること自体が素晴らしいことですから。

―数学が苦手な人へ

 「分からない」ということは言わば、スタート地点に立っているということです。人よりできないからといって諦めてしまうのはもったいないと思います。何かがきっかけで急に成績が伸びることもあります。逆に、すらすらと理解できる人が、数学の本質まで理解しているとは限りません。時間をかけて本質をつかむことが大切です。

―数学は世の中でどのように活かされているか

 例えば、本学材料科学高等研究所(AIMR)では、数学と材料科学に橋をかけていますし、AI関係やビッグデータ、画像認識などでも、近い分野の数学がコアに使われています。数学が世の中でどのように役立っているかを我々が発信していくことも必要だと感じています。

―高校生にメッセージを

 自分が一生かけてやりたいと思う、夢を見つけてもらえればと思います。そのようなものに対しては、例え苦しい状況に立たされたとしても、苦境を乗り越えるきっかけがどこかにあると思っています。

 また、数学に限らないことですが、自分が他人よりできるから好きだ、と考えることには注意が必要だと思います。「できる」というのは相対的な指標だからです。他人に左右されない自分だけの「これだ」という夢を持ってほしいと思います。
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