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【サイカフェ】日本の名前がつくかもしれない!? ~新元素113番のはなし~

 1129日、東北大学サイエンスカフェ第98回「日本の名前がつくかもしれない!? ~新元素113番のはなし~」が、せんだいメディアテークで開催された。本学大学院理学研究科の萩野浩一准教授が講師を務め、参加者は講演や参加者同士の議論を通じて元素に関する学びを深めた。

 今回のテーマは、日本の命名権獲得が期待されている、新しく見つかった113番元素。第1部の講演では元素・原子・原子核の基礎知識や新元素合成を含む最新の研究について、萩野氏が丁寧に説明した。(講演の概要は記事末尾に記載) 



 第1部が終わると、核図表(元素を陽子数・中性子数によって配置し、原子核の安定性によって色分けした表)が各テーブルに配られた。参加者は提示されたいくつかの課題をもとに、ファシリテーター(議事・助言を行うスタッフ)を合わせ10人程度で核図表を囲んで議論を交わした。課題は、ある特徴のある元素を探したり原子核が安定する法則について考えたりするもので、各々が見つけたことや思ったことを自由に発言し、活発に意見が飛び交う話し合いとなった。

 その後の第3部では、各テーブルから集められた課題への解答と質問を受け、講師が再び演台に立った。挙がった質問は時間内に答えきれないほどで、「続きはウェブで」という形で盛況のうちに催しは幕を閉じた。答えの続きや今回使われたスライド資料は萩野氏のウェブサイトで閲覧できる。

(2013年12月18日現在。 Home Page of Kouichi Hagino http://www.nucl.phys.tohoku.ac.jp/~hagino/)。

 誰もが気軽に科学に触れられるサイエンスカフェ。今後は20142月に地震予測研究、3月に生物模倣による技術革新をテーマに開催される予定となっている。会場は共にせんだいメディアテーク。詳しくは公式ウェブサイト:東北大学サイエンスカフェ・リベラルアーツサロン (http://cafe.tohoku.ac.jp/


【講演概要】

 物体の基本単位である原子は、陽子・中性子の塊である原子核とその周囲を回る電子からできている。酸素・窒素などといった原子の種類は陽子の数で決まり、原子核の安定性は陽子や中性子の数によって決まる。不安定な原子核はいずれ崩壊や分裂をして別の元素に変わる。最近の研究ではこの、陽子・中性子数と安定性の関係が調べられてきた。

 そういった研究は自然界にない重い元素を合成して調べる研究にも繋がった。原子核同士を専用の大規模施設を使って高速でぶつけ、融合させることで新元素を生成し、それがどのように崩壊するかを調べるのだ。

 実験データからその存在が確定的になった新元素はもちろん、発見者のつけた名前を冠して、元素周期表に追加される。こうしたことから、新元素合成それ自体が、米露独などで国を挙げた大きな目標とされてきた。

 日本もそれに負けじと、113番元素を延べ553日かけ3回合成してみせた。日本とほぼ同時期に合成したロシアと争ってはいるが、命名権獲得が成れば、日本初どころか、アジア初、欧米諸国以外初の快挙となる。この大きな偉業に期待が集まっている。そう遠くない将来、日露どちらかに命名権が与えられるはずだ。
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