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【研究成果】MSTタグを開発 ~タンパクのメラノソーム局在を制御~

 本学大学院生命科学研究科が細胞内小器官の一つであるメラノソームの膜表面へ人為的にタンパク質を輸送する新技術を開発した。これは同研究科所属の石田森衛修士大学院生、荒井沙希修士大学院生、福田光則教授らによる成果である。



 我々の瞳や髪の黒色はメラニン色素によるものだ。今回研究対象となったメラノソームはメラニン色素産生細胞で生産され、他の細胞に輸送される細胞内小器官である。メラノソームを受け渡された細胞はメラノソームに含まれるメラニン色素に着色される。このメラノソームにはメラニン合成酵素など特殊なタンパク質が数多く存在するが、それらが細胞内で合成された後どのようにしてメラノソームへ輸送されるかはこれまで十分に解明されていなかった。

 今回の研究では、メラノソーム上に局在することが知られていたメラノレギュリンというタンパク質を利用した。これは比較的小さなタンパク質で、研究の結果アミノ末端から139番目までのアミノ酸残基にメラノソーム局在をつかさどるシグナル配列が含まれていることが判明した。この配列を他のタンパク質に導入すると、導入されたタンパク質の活性を奪わず、かつ自身のメラノソーム局在能も保持するという点で極めて有用な配列であることがわかった。研究グループはこの配列をメラノソームターゲティング(MST)タグと命名した。このMSTタグをメラノソーム局在能のないタンパク質に導入するとメラノソーム局在能を獲得した。またメラノソームを輸送するタンパク質にMSTタグを導入すると、従来必要であったメラノソームと輸送タンパク質をつなぐ役割のタンパク質が欠損していてもメラノソームの輸送が正常に行われていることが確認された。

 今回の成果はメラノソームの表面にタンパク質を局在させる技術であるが、メラニン合成酵素のような膜貫通型タンパク質のメラノソーム局在をつかさどるシグナル配列は未発見である。また、MSTタグは成熟したメラノソームへ輸送されるが、未成熟のメラノソーム表面に輸送する技術は確立されていない。今後はこれらの点についても研究が進められる予定である。
研究成果 260997011882293256
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