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実用青色LED 開発に貢献 本学金属研 松岡隆志教授


去る10月、今年のノーベル物理学賞に、青色LEDの実用化に貢献した、赤崎勇氏・天野浩氏・中村修二氏ら日本人研究者3名が選ばれた。いずれも青色LED実用化に大きく貢献した方々だが、今回は惜しくも受賞を逃したものの「ノーベル賞級」の貢献をした研究者が本学にいる。本学金属研究所の松岡隆志教授だ。
LEDは半導体の貼り合わせによるサンドイッチ(ダブルヘテロ)構造の素子である。これに電流を流すことで、中央層から半導体の材質に応じた波長の光が放出され、発光する。つまりLEDでは、使う半導体の材料を変えることで、光の色を変えることが出来る。赤色・黄緑色のLEDはどちらも1960年代に開発され、本学の西澤潤一名誉教授によって実用化された。そして光の三原色としての青色の実用化が求められていたが、材料開発が難しく、一時は「20世紀中の実用化は不可能」とまで言われていた。
そんな中、当時名古屋大学の赤崎氏・天野氏のグループが、1980年代にGaNという半導体材料の高品質結晶の成長に成功し、GaNのp型化にも成功。その後、この不純物を用いて青く光るLEDを開発したと話題になった。しかし、不純物を用いたLEDは明るくならないとされている。
一方、松岡教授(当時NTT所属)は、青色LEDの構成材料として、GaNに、色の選択と高品質結晶の積層を可能にする結晶材料の格子定数の選択の自由度を2プラスしたInGaAlNを提案していた。これはGaNだけに比べ、色の選択を可能にする。発光層の材料としてInGaNを取り上げ、結晶成長装置を開発し、InGaNの単結晶を作ることに成功した。この材料が現在の青色LEDに使われている。しかし、松岡教授は当時の会社の事情で研究を一時中断せざるを得ず、実際にLEDを作ることは叶わなかった。その後、1993年にダブルヘテロ構造の発光層にInGaNを採用して実際に青色LEDを実用化させたのが中村氏だった。InGaNについてはこのような功績が評価され、文部科学省の平成19年度版科学技術白書には青色LED実用化への三つ目のブレークスルーとして松岡教授の成果が挙げられていた。
松岡教授は、今回は受賞に至らなかったが、、「今は(現在行っている研究で)20年後のノーベル賞を目指している」と自信に満ちた表情で語った。
1226日(金)には天野教授を仙台に招いて、本学主催のノーベル物理学賞記念講演会が行われる。その中で松岡教授の講演も予定されている。

 
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