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新元素ニホニウム発見 研究チームが本学で講演

 先月10日、本大学川内南キャンパス文科系総合講義棟で東北大学主催の公開サイエンス講座「日本で発見! 113番新元素―ニホニウム―」が開催された。講演を行ったのは、本学大学院理学研究科萩野浩一准教授と仁科加速器研究センター超重元素研究分析チームのチームリーダー森本幸司氏だ。




 森本氏の研究チームによって発見されたニホニウムが昨年11月30日IUPAC(国際純正・応用化学連合)から正式に元素として認められたことは記憶に新しい。日本の研究チームが元素を発見したのはこれが初めてで、本講演はそれを記念として開かれた。講演会ではまず萩野准教授が原子の構造と重元素について説明し、次に森本氏がニホニウム合成実験の概要やニホニウム発見までの険しい道のりを語った。二人は原子に関するクイズや加速器に関するビデオを用いながら最先端の科学研究を丁寧に解説した。参加者は相づちを打ちながら熱心に講演に耳を傾けていた。

 森本氏の研究チームは、研究を始めた2003年から約10年で3個のニホニウムの合成に成功した。一つの原子にはその中心に原子核と呼ばれる核があり、その核の中にはプラスの電荷をもった陽子が含まれている。森本氏の研究チームは、加速器にかけられた亜鉛の陽子をビスマスの陽子に衝突させることで、別々の原子核の中にあった陽子を一つの原子核にまとめてニホニウムを合成した。

 しかしニホニウムの合成は決して容易なものではない。亜鉛の加速度が小さすぎると亜鉛とビスマスの陽子同士に働く反発力に負けて衝突させることができず、大きすぎると衝突しても生成物はすぐに分裂するので加速器の細かな操作が必要だ。また衝突させる陽子の個数が多いことが原因で、ニホニウムなどの原子番号の大きい重元素の合成はさらに困難となる。

 森本氏のチームの発見によって元素の周期表に新たなピースがはめられたことになる。しかしながらこれで森本氏の研究が終わったわけではない。113番以降にはまだ発見されていない元素が数多く残っている。森本氏は、「新たな元素を発見するための準備は整っている。これからもさらに研究を続けていく」とさらなる発見への意気込みを語った。
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