【研究成果】グッピー色覚の違い ~水環境によって差~
https://ton-press.blogspot.com/2014/05/blog-post_30.html
グッピーの色覚の違いが住んでいる水環境のきれいさによって決まることが分かった。本学大学院生命科学研究科の河田雅圭教授と当時大学院生だった手塚あゆみさん(現九州工業大学研究員)が東京大学、総研大、University of East Asiaの研究グループと共同で調査を行い、明らかにした。
野生グッピーのオスの体色は多様で個体差が大きく、その理由が注目されている。オスの体色はメスがパートナーを選ぶときの判断基準に大きく影響する。判断基準は個体ごとで異なり、その原因は色の見え方の違いによるという仮説が提唱されてきた。しかし色覚の違いがどのように生じ、維持されているのかは解明されていなかった。今回教授らはグッピーの原産国であるトリニダット島とトバコ島内の川で光環境や流域ごとに10地点を選び調査。色覚に影響する9種類のオプシン遺伝子のうち、個体間で変異がある確率が高いと予想されていた6種類について解析を行った。
調査の結果、緑色や赤色の見え方に関係する2種類の赤型オプシン遺伝子座で異なる対立遺伝子が集団の間で自然選択によって増加していることが明らかになった。また、その遺伝子頻度は水環境の溶存酸素量によって異なっていた。溶存酸素量が大きい水の透明度は高く、グッピーにとっては互いの色が見えやすくなる。こういった水環境に生息するグッピーのオプシン遺伝子はより長波長(赤い色)の光を感受する方向へ進化していた。一方、溶存酸素量が低い水はプランクトンなどにより富栄養化が進んでおり、透明度も低い。この環境では、グッピーのオプシン遺伝子はより短波長(緑色)の光を感受する方向へ進化していた。
また透明度の高い水環境で育ったメスはオレンジ色の箇所がより大きなオスを好み、富栄養化の進んだ水環境で育ったメスは色に依存しない傾向を示す可能性がある。河田教授は「グッピーはオレンジ色の箇所が大きいほどエサの探索能力が高いという仮説、さらにメスがその特徴をもとにオスを選んでいるという仮説を検証する必要がある」と述べている。
今後研究グループでは、オレンジ色の箇所の大きさの違いがメスの行動にどんな違いをもたらすか、また色覚以外でパートナー選びにどのような要因があるかについて調べる。「この研究はグッピーに限らず、さまざまな生物の変異が多様なまま維持されている理由を解明することにもつながっていくだろう」と河田教授は語った。
野生グッピーのオスの体色は多様で個体差が大きく、その理由が注目されている。オスの体色はメスがパートナーを選ぶときの判断基準に大きく影響する。判断基準は個体ごとで異なり、その原因は色の見え方の違いによるという仮説が提唱されてきた。しかし色覚の違いがどのように生じ、維持されているのかは解明されていなかった。今回教授らはグッピーの原産国であるトリニダット島とトバコ島内の川で光環境や流域ごとに10地点を選び調査。色覚に影響する9種類のオプシン遺伝子のうち、個体間で変異がある確率が高いと予想されていた6種類について解析を行った。
調査の結果、緑色や赤色の見え方に関係する2種類の赤型オプシン遺伝子座で異なる対立遺伝子が集団の間で自然選択によって増加していることが明らかになった。また、その遺伝子頻度は水環境の溶存酸素量によって異なっていた。溶存酸素量が大きい水の透明度は高く、グッピーにとっては互いの色が見えやすくなる。こういった水環境に生息するグッピーのオプシン遺伝子はより長波長(赤い色)の光を感受する方向へ進化していた。一方、溶存酸素量が低い水はプランクトンなどにより富栄養化が進んでおり、透明度も低い。この環境では、グッピーのオプシン遺伝子はより短波長(緑色)の光を感受する方向へ進化していた。
また透明度の高い水環境で育ったメスはオレンジ色の箇所がより大きなオスを好み、富栄養化の進んだ水環境で育ったメスは色に依存しない傾向を示す可能性がある。河田教授は「グッピーはオレンジ色の箇所が大きいほどエサの探索能力が高いという仮説、さらにメスがその特徴をもとにオスを選んでいるという仮説を検証する必要がある」と述べている。
今後研究グループでは、オレンジ色の箇所の大きさの違いがメスの行動にどんな違いをもたらすか、また色覚以外でパートナー選びにどのような要因があるかについて調べる。「この研究はグッピーに限らず、さまざまな生物の変異が多様なまま維持されている理由を解明することにもつながっていくだろう」と河田教授は語った。