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情報科学研究科 河村和徳准教授に聞く「被災地復興と政治の今」 ~選挙の論点としての「復興」~

東日本大震災の発生から今年で4年を迎える。時間が経つにつれ風化する震災の記憶。去る12月に行われた衆院選でも、被災地復興を訴える声はそれほど聞かれなかった。
被災地の政治に詳しい本学情報科学研究科の河村和徳准教授に、復興と政治の今についてお話を伺った。

―政治学、特に選挙の観点から「復興」は難しい問題を抱えています。
例えば仙台市内において、震災により直接被災した人は市民の5%未満と言われています。ただ、アンケート調査を行ってみると、主観的に自分は被災者である、と感じている人は50%程。半分くらいの人が被災していると感じているなら、選挙の争点として「復興」は成り立ちます。候補者にとって、ある程度の得票を見込めるからです。
しかし、時間が経つにつれて自分が震災の被災者だと思う人の割合はどんどん減っていきます。多くが県外からやってきて、卒業後は地元や首都圏へ行く東北大の学生などは良い例です。また、能力のある人は仮設住宅を早く出ていくので、結果として残された少数の被災者こそが政治に頼らざるを得ない存在になります。

―ここで、選挙の候補者の立場に立って考えてみましょう。多数決制の選挙制度の下、勝ちたければ候補者は多数派、多くの人にとって問題となるような事柄について焦点を当てる必要があります。すると、多くの人に係る経済政策のような話題に比べ、被災地復興は限定的な争点です。候補者としては、復興を争点として訴えたい、でもそうすると選挙に勝てないというジレンマが生じます。

―政治は多数と少数の狭間で決定をする必要があります。復興はその典型的なものです。少数の人の声を、多数決制の下、どのように調整していくか。ジレンマの中で模索しなければなりません。「絆」のように感情で復興を語るのではなく、データに基づいて分析をする必要があります。
私のような研究者は、復興政策を語る上での情報を提供することができます。そして次の震災に向けて何が出来るか発信できます。それはまた、被災地を拠点とするここ東北大としての使命であるのではないかと思っています。


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