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【特別インタビュー】情景師「アラーキー」こと荒木智氏 ~ジオラマで人々の生活を豊かに~

 精巧なジオラマで人気を博している情景師・アラーキー(荒木智)さん。2014年秋、ゴミ捨て場のジオラマ(※)が本物そっくりだとネット上で話題になった。これをきっかけに人気に火がつき、以来多くのメディアに出演し、ジオラマの依頼も多数舞い込んでいる。今回は荒木さんに話を伺った。


―ジオラマ制作をはじめたきっかけを教えてください
 僕が幼い頃は特撮の全盛期でした。特撮のセットたるジオラマに憧れていたとき、母から「箱庭遊び」を薦められたのが始まりです。お菓子の入っていた缶に土を敷いて、草などを植えて風景を作る遊びです。
 小学生になると、ジオラマからはいったん離れてプラモデルばかり作っていました。一度一つの対象に熱中するとそればかり作っていました。例えば零戦、戦艦、お城、戦車、SLなどです。一つのものを集中的に作って、その形状や成り立ちなどを覚え、自分の中で満足に消化できたら次の対象に移るといったかたちでした。
 ジオラマを本格的に作り始めたのは中学生からです。当時、自分は将来特撮監督になりたいと思っていました。そのためには自分でミニチュアを作れなきゃいけないと思って背伸びをしたので、今に通じるテクニックを当時にだいぶ身に着けました。そしてタミヤ模型のコンクールに出品したら良い賞をいただいて、自信がついてそこで納得してしまったので、ジオラマ作りから遠ざかってしまいました。
 また本格的にジオラマ製作を始めたのは、社会人になって数年経ってからです。会社で家電のデザインをしていたのですが、入社して数年経ったら、デザインが手での作業からデジタル機器を用いた作業に移行したんです。僕は自分の手を動かすのが好きだったし、手を動かさなければ感覚が鈍ってしまうという思いがありました。そこでジオラマ作りを再開しました。

―荒木さんにとってジオラマとはなんですか
 ジオラマは、コミュニケーションの手段の一つだと思っています。立体なので、絵や映像よりも刺激や興奮が見る人に伝わりやすいですね。例えば先日、50年前にあった観覧車のジオラマを作ったんです。これを見た年配の方々が当時のことを思い出して、人それぞれ様々な反応がありました。観覧車にまつわる思い出を話してくれる人もいれば、ただ黙ってじっと見ている人もいました。また当時を知らない人でも、ジオラマを見て想像を膨らませることができます。ジオラマを見た人の思い出や、心の思いを喚起すること、それにより人々の生活を豊かにすることは、ジオラマ制作における大きな目標の一つです。これは家電メーカーに勤めているときの「自分の作った家電で人々の生活を豊かにしたい」という思いと根底は変わらないと思います。

―学生にメッセージをお願いします
 今の若い人は門戸が開かれています。僕の若い頃と違って、SNSを使って有名人にも簡単に連絡が取れます。
 でも逆に、今の若い人はそれを活用しない人も多いですよね。チャンスが多すぎて、どうすればいいのか分からなくなっている。それはもったいないと思います。学生は社会人ではない分、多少のミスなら許されます。だからどんどん色々なことに挑戦してみるといいと思います。

(※)「ゴッサムシティ」という作品の一部。2013年制作。

特別インタビュー 5306675952524825288
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