【研究成果】炎症抑制 異なる仕組み解明 ~新抗炎症薬開発へ期待~
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医学系研究科の小林枝里助教、山本雅之教授らは、転写因子Nrf2が従来の説とは異なる仕組みで炎症を抑制することを解明した。転写因子とはDNAに結合して遺伝子の発現を調節するタンパク質だ。その中でもNrf2は食物中の微量な毒物や、酸素の過不足による酸化ストレスなどに応答して、遺伝子の発現を変化させ細胞を保護する働きがある。さらに、炎症を抑制する働きを持つ。
従来の仮説ではNrf2が細胞を守る遺伝子を活性化させ、酸化ストレスを押さえ込むことで、炎症を抑制すると考えられていた。しかし、その仮説を詳しく検証した研究はなく、炎症を起こした細胞でNrf2がどのような遺伝子の発現を制御しているか調べた報告もなかった。山本教授は「Nrf2が体を炎症から守る仕組みを分子レベルで解明することが本研究の目的だ」と語る。
本研究では、外敵の排除に重要な役割を持つ白血球の一種、マクロファージを使用した。Nrf2活性化マウスのマクロファージと野生型マウスのマクロファージに菌の成分を投与し、炎症を起こして、Nrf2が制御している遺伝子を解析した。その結果、Nrf2活性化マウスのマクロファージのほうが、炎症を起こす炎症性サイトカインという遺伝子の発現が低いことが分かった。さらにNrf2活性化マウスのマクロファージを調べたところ、Nrf2が炎症性サイトカイン遺伝子の近くに結合していることが判明した。これらの結果から、Nrf2が炎症性サイトカイン遺伝子の発現を阻止することで炎症を抑制することが明らかになった。
炎症性サイトカインは、過剰に産生されると、リウマチや糖尿病、がんなどさまざまな病気を悪化させることで知られている。炎症性サイトカインの働きを抑える治療法として抗体療法が使われている。しかし抗体療法では、タンパク質でできている抗体を壊れないように体内に入れる必要がある。そのため、注射や点滴でしか投与できず、費用が高いことが欠点だ。本成果により、Nrf2を活性化する化合物を、炎症性サイトカインの産生を抑える薬として利用できることが示された。Nrf2活性化剤は経口投与が可能であり、薬価も低く抑えられることから、新たな抗炎症薬としての開発が進むことが期待される。「本研究を進めていくことで、医療の現場に貢献し、患者さんの負担を軽減できれば」と小林助教は今後の研究に対する意気込みを見せた。
従来の仮説ではNrf2が細胞を守る遺伝子を活性化させ、酸化ストレスを押さえ込むことで、炎症を抑制すると考えられていた。しかし、その仮説を詳しく検証した研究はなく、炎症を起こした細胞でNrf2がどのような遺伝子の発現を制御しているか調べた報告もなかった。山本教授は「Nrf2が体を炎症から守る仕組みを分子レベルで解明することが本研究の目的だ」と語る。
本研究では、外敵の排除に重要な役割を持つ白血球の一種、マクロファージを使用した。Nrf2活性化マウスのマクロファージと野生型マウスのマクロファージに菌の成分を投与し、炎症を起こして、Nrf2が制御している遺伝子を解析した。その結果、Nrf2活性化マウスのマクロファージのほうが、炎症を起こす炎症性サイトカインという遺伝子の発現が低いことが分かった。さらにNrf2活性化マウスのマクロファージを調べたところ、Nrf2が炎症性サイトカイン遺伝子の近くに結合していることが判明した。これらの結果から、Nrf2が炎症性サイトカイン遺伝子の発現を阻止することで炎症を抑制することが明らかになった。
炎症性サイトカインは、過剰に産生されると、リウマチや糖尿病、がんなどさまざまな病気を悪化させることで知られている。炎症性サイトカインの働きを抑える治療法として抗体療法が使われている。しかし抗体療法では、タンパク質でできている抗体を壊れないように体内に入れる必要がある。そのため、注射や点滴でしか投与できず、費用が高いことが欠点だ。本成果により、Nrf2を活性化する化合物を、炎症性サイトカインの産生を抑える薬として利用できることが示された。Nrf2活性化剤は経口投与が可能であり、薬価も低く抑えられることから、新たな抗炎症薬としての開発が進むことが期待される。「本研究を進めていくことで、医療の現場に貢献し、患者さんの負担を軽減できれば」と小林助教は今後の研究に対する意気込みを見せた。