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【ネタ記事】不定期企画・朝まで生討論 ~イカトンに差す一筋の光―~

 筆者は暗闇の中をもがいていた。迫るハタチへのカウントダウン、先の見えない未来、臆病な自分。「なぜ、とんぺー男子に彼女ができないのか」。本学男子生徒の多くの悩みを、筆者も同様に抱えていた。それだけにとどまらない。最近では「人はなぜ恋愛をするのか」「理想の人生とは何か」などの悩みにまで発展したのである。

 筆者がこれらの悩みを抱えるようになった発端は高校の文化祭。後夜祭でアメ交換というイベントがあった。一人一つアメが渡され、友達、先生、先輩、後輩……誰とでも何回でも交換していい。中には異性と交換する人もおり、そこから交際に発展するなんてことも。俗に「文化祭マジック」と呼ばれるこの現象。肝心の筆者はというと、「文化祭マジック」は3年間起きなかった。いや、起こそうとしなかった。

   こんな筆者も大学入学当初は積極的に動いた。ソレ目的ではないが、インカレサークルにも入り順風満帆な日々を送っていた。しかし、入学数カ月で早くも身にまとってしまった「イカトンの皮」を剥がすことはできなかった。いや、剥がす勇気すら持ち合わせていなかった。

   かくして一歩すら踏み出せないまま時は過ぎていった。ここまで読んで察しがつくかと思うが、筆者には驚くほど自分に自信がない。自己肯定感がない。そんな筆者を見かねたのか、編集長は部会である提案をする。「報道部朝まで生討論を開催しよう」。自分一人で考えるのに疲れていた筆者は賛成した。なるべく多くの意見を集めるためには多くの部員に参加してもらわねば。「ピザを注文する」との文言に釣られ10人が部室に集まった。

   しかし、討論は始まらない。ピザを食べ終わると各々ボードゲームやテレビゲームなどを始めてしまう。考えてみれば当たり前だ。自分に自信が無いのはそもそも自分自身が原因なのだ。他人に自己肯定感を高めてもらうなんて図々しい。筆者はまた自己嫌悪に陥り、自己肯定感はさらに低下していく。

   そんなとき、部室のドアが開く。そこには筆者を一番心配している編集長の姿があった。「飲み会があり参加が遅れた」と話す編集長。筆者は悩みを打ち明けた。「僕はすぐに自分と他人とを比べてしまい、その度に自分が劣っている気になるので自己肯定感が驚くほど低いんです……」。

 編集長は優しい顔でアドバイスを送った。「逃げ恥を見なさい」。「逃げるは恥だが役に立つ」、通称「逃げ恥」は星野源演じる自己肯定感の低い津崎平匡と、新垣結衣演じる森山みくりの恋の物語だ。試しにおすすめの回を一部視聴してみることに。そこにはまるで筆者の生き写しのような平匡さんがいた。

   自分と他人を比べてしまうのは、人間である以上仕方ないこと。全ての悩みは人間関係に起因する。自己肯定感が驚くほど低い筆者だが、よく思い返してみれば、こんな筆者の悩みを受け入れてくれようとしている部員がいるではないか。暗闇の中に光が差し込んだ気がした。カーテンを開けてみる。

   ただの朝日だった。これにて今回の「報道部朝まで生討論」完。
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