読み込み中

【受賞】河北文化賞 堀切川 一男 教授

 本学大学院工学研究科所属の堀切川一男教授が、1月17日に河北文化賞を受賞した。受賞理由は「独自の地域産学官連携スタイルの構築と実践による地域産業への貢献」。受賞に至るまでの経緯や研究にかける思いについて話を伺った。


 院生時代に、「基礎研究をして教科書を作るだけでは終わりたくない。何か一つでいいから自分の研究を生かして実用製品を作りたい」と思った堀切川教授。「人と同じことはしたくない」との思いから、主に中小企業と協力して、東北地方の産業発展に貢献してきた。「ご用聞き型企業訪問」という、県庁や市役所の職員と数人でチームを組んで地元の企業を訪問し、工場見学や社長との話し合いをする独自のスタイルで産業支援を行っている。この方式で訪れる中小企業の仕事は、ほとんどが下請け業務ばかりなので自社の強みを分かっていないことが多いという。工場見学や話し合いを通して、その企業に合ったアドバイスを考えることで、今まで世に出ていないが、消費者のニーズの高い自社製品を持たせることを第一の目的としている。

 企業訪問に行くときは、失敗したことを中心に話を聞くようにしているという。失敗した原因を考え、課題を設定し、アイデアが浮かんだらそれを企業に伝えて挑戦してもらう。企業が失敗したと思っている開発を成功に導くのが企業訪問のもう一つの目的だ。河北文化賞を受賞したときに、このようにして協力してきた会社の人々がとても喜んでくれたのがうれしかったという。

 堀切川教授が中小企業と連携する中で、特に大切にしていることは二つある。一つは、名前を付けること。開発途中であっても商品に名前をつけることで、商品を販売するイメージを共有でき、やる気の向上につながるという。もう一つは、必要最低限の目標を立てること。これは、最初から高い目標を設定してしまうと、商品化までこぎ着けなくなるリスクが大きくなってしまうためだ。また、必要最低限の機能を備えた商品を販売することで、商品に対する消費者のニーズを具体的に把握できるという。「小志を抱いて必ず成功させる」をモットーにその企業にふさわしいアドバイスを送っている。企業訪問の経験が増えるにつれて、体験談から相手にふさわしいアドバイスの傾向が分かるようになり、商品開発の成功率が上昇してきたと堀切川教授は話す。

 理系の学問では、自分の研究成果は他人の踏み台になるためにあるようなものだという。先行研究をベースにして、どんどん技術が発展していくというイメージだ。しかし、踏み台になった研究が今後日の目を見ないということは当然ない。本来の用途とは違う、思わぬ場面で製品化されることもある。「技術は生命と同じように常に進化し続けている。だから、他人の研究の踏み台になれない研究にはあまり価値がない」というのが教授の考えだ。

 「工学とは、自然科学を人間社会で有効活用できるようにするための学問だから、常に人間の存在を意識することが大切。これは全ての学問に当てはまると思う」と語る堀切川教授。今後も、自身の研究分野に囚われず、人々の生命や生活を支える製品を作り出すことを主眼においていく。
受賞 6224453500573202317
ホーム item

報道部へ入部を希望する方へ

 報道部への入部は、多くの人に見られる文章を書いてみたい、メディアについて知りたい、多くの社会人の方と会ってみたい、楽しい仲間と巡り合いたい、どんな動機でも大丈夫です。ご連絡は、本ホームページやTwitterまでお寄せください。

Twitter

Random Posts