【特別インタビュー】防衛大臣・河野太郎 衆議院議員 ~視線は太平洋の向こう側に~
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河野太郎衆議院議員は、国家公安委員会委員長、外務大臣などの要職を歴任し、昨年9月から防衛大臣に就いている。2018年には、本学主催のSDGsシンポジウムで講演を行うなど、本学とのゆかりもある。河野大臣に、自身の経験を踏まえながら、大学生へ向けた話を伺った。
―防衛大臣としてのやりがいは
防衛大臣の一番の仕事は国民の平和な暮らしを守ること、日本の領土、領海、領空を守ることです。究極的なやりがいを感じるのは、就寝するときに「今日も一日平和を守れた」と感じるときです。
―どのような苦労があるか
防衛大臣は約25万人の自衛隊員の命を預かっています。台風のような災害や、中東の暑い気候の中で、身体を張っている隊員の安全、健康をどのように守っていくかを考えるのが一番の苦労というか大変なところです。
以前は、災害派遣の現場でトイレもままならない、ということもあるくらい隊員の活動環境は良いとは言えないものでした。しかし、コンビニエンスストアにお願いして、ありがたいことに今では迷彩服のままでも自衛隊員がコンビニエンスストアのトイレを気軽に使わせてもらえるようになりました。限られた予算の中、どのように隊員の勤務環境を整えるかに気を配っていかないといけない、と思っています。
―国家公務員の志願者が減少傾向にあることについてどう考えるか
公務員離れは非常に深刻です。国家公務員試験の受験者の中で首都圏の大学の出身者の割合がだんだん増えてきていて、しかもその多くは首都圏で生まれ育った人なんですよ。もっと地方から人材を呼び込まなければいけません。
そのため、私が国家公務員制度担当大臣だったときは、国家公務員のガイダンスを地方でも積極的にやるようにしました。そういう地道なことをやっていかなきゃなと思っています。
さらに、「中央省庁はブラックだ」という雰囲気。これをなんとかしないといけないよなと。国家公務員は国を背負うという意味でやりがいには事欠かないと思うんだけれど、やりがいがあっても給料は安いわ、労働時間は長いわじゃ、若い人は来てくれないですよね。だから、中央省庁の働き方改革を進めていかないといけないと考えています。ただ一方で、それは中央官庁だけでできることではなくて、国会や内閣法制局などの協力が必要なことです。だから、みんなで働き方改革をやろうというコンセンサス(合意)を作っていくことが大事だと思うんですよね。もちろん各省庁でできることはあるんだけれど、根本的には国会、中央省庁全体で問題意識をもって取り組まなければならない問題です。
―河野大臣の前職は外務大臣、現在では防衛大臣として世界を舞台に活躍している。その上で、今の日本人に足りないものは何だと考えるか
英語能力だね。これはブータンに行ったときのことなんですが、こんなに日本人は話せるかな、というくらいにブータンの人が普通に英語で話しかけてる。正直驚きました。世界では英語ができて当たり前になっているのに、日本人は対応できていない。これは致命的です。なんとかせにゃいかんよね。
外交の世界では、やっぱり通訳を介さないっていうのは大事。通訳を入れると相手の人間性がよく分かんない。たどたどしくても直接自分で話すことで、細かいところまで相手は自分のことを分かってくれる。どんなに翻訳アプリが発達しても、それは変わらない。会談の時に話すだけじゃなくて、飯食ってるときに気軽にたわいもないことを話せる、そういうのを積み重ねていくことでこそお互いの理解が深まっていくから、英語を話せるっていうのはとても重要。
現在の日本の英語の教え方には正直問題があるし、危機的な状況だという認識を持つ必要があるとは思う。でも、制度に問題があったとしても英語ができなくて困るのは将来の自分なんだから、今の若い人たちももっと自分で勉強する努力が必要だろ。
―アメリカの大学への入学を決めたのはなぜか
将来日米首脳会談をやるときに英語が必要だと思ったから。前に親父にそう言ったらおまえは馬鹿かと言われたけど、外相会談までは英語でやったぞ。
少なくとも、アメリカに行けばなんとかなるだろうという考えはあったね。でも正直結構大変だった。当時の自分の力じゃ大学の授業について行けないと思ったから、アメリカの全寮制の高校に1年通ってから大学に行った。全寮制の高校は午後10時消灯だったんだけど、それじゃ次の日の授業の予習ができないから、倉庫にテーブルとランプを入れてもらって、そこで大体夜中の3時くらいまで教科書を読んでたね。
つらい思いをした経験がその後役に立ったという感じはあるよ。ここまでやったから英語を使えるようになったんだと思う。
―本学学生へのメッセージをお願いします
最近の大学生にどこで就職するの、って聞くと、「え、日本で」という人が99パーセントくらいなんだよね。東北大は優秀な大学なんだからさ、せめて最初の就職先は海外にしてくれよ。最終的に日本で働くにしても、そこで世界標準はこういうものなんだ、っていうのを肌で感じた上で日本に戻ってきてほしい。シンガポールでもドバイでもニューヨークでもシリコンバレーでもどこでもいいから、とりあえず海外行けよと言いたい。まかり間違っても東京で就活なんかするなよ。
東北大の学生さんには、東京なんか見ないで、世界と直接つながりに行ってほしい。ぜひ、視線は太平洋の向こう側に。
―防衛大臣としてのやりがいは
防衛大臣の一番の仕事は国民の平和な暮らしを守ること、日本の領土、領海、領空を守ることです。究極的なやりがいを感じるのは、就寝するときに「今日も一日平和を守れた」と感じるときです。
―どのような苦労があるか
防衛大臣は約25万人の自衛隊員の命を預かっています。台風のような災害や、中東の暑い気候の中で、身体を張っている隊員の安全、健康をどのように守っていくかを考えるのが一番の苦労というか大変なところです。
以前は、災害派遣の現場でトイレもままならない、ということもあるくらい隊員の活動環境は良いとは言えないものでした。しかし、コンビニエンスストアにお願いして、ありがたいことに今では迷彩服のままでも自衛隊員がコンビニエンスストアのトイレを気軽に使わせてもらえるようになりました。限られた予算の中、どのように隊員の勤務環境を整えるかに気を配っていかないといけない、と思っています。
―国家公務員の志願者が減少傾向にあることについてどう考えるか
公務員離れは非常に深刻です。国家公務員試験の受験者の中で首都圏の大学の出身者の割合がだんだん増えてきていて、しかもその多くは首都圏で生まれ育った人なんですよ。もっと地方から人材を呼び込まなければいけません。
そのため、私が国家公務員制度担当大臣だったときは、国家公務員のガイダンスを地方でも積極的にやるようにしました。そういう地道なことをやっていかなきゃなと思っています。
さらに、「中央省庁はブラックだ」という雰囲気。これをなんとかしないといけないよなと。国家公務員は国を背負うという意味でやりがいには事欠かないと思うんだけれど、やりがいがあっても給料は安いわ、労働時間は長いわじゃ、若い人は来てくれないですよね。だから、中央省庁の働き方改革を進めていかないといけないと考えています。ただ一方で、それは中央官庁だけでできることではなくて、国会や内閣法制局などの協力が必要なことです。だから、みんなで働き方改革をやろうというコンセンサス(合意)を作っていくことが大事だと思うんですよね。もちろん各省庁でできることはあるんだけれど、根本的には国会、中央省庁全体で問題意識をもって取り組まなければならない問題です。
世界で通用する英語力を
―河野大臣の前職は外務大臣、現在では防衛大臣として世界を舞台に活躍している。その上で、今の日本人に足りないものは何だと考えるか
英語能力だね。これはブータンに行ったときのことなんですが、こんなに日本人は話せるかな、というくらいにブータンの人が普通に英語で話しかけてる。正直驚きました。世界では英語ができて当たり前になっているのに、日本人は対応できていない。これは致命的です。なんとかせにゃいかんよね。
外交の世界では、やっぱり通訳を介さないっていうのは大事。通訳を入れると相手の人間性がよく分かんない。たどたどしくても直接自分で話すことで、細かいところまで相手は自分のことを分かってくれる。どんなに翻訳アプリが発達しても、それは変わらない。会談の時に話すだけじゃなくて、飯食ってるときに気軽にたわいもないことを話せる、そういうのを積み重ねていくことでこそお互いの理解が深まっていくから、英語を話せるっていうのはとても重要。
現在の日本の英語の教え方には正直問題があるし、危機的な状況だという認識を持つ必要があるとは思う。でも、制度に問題があったとしても英語ができなくて困るのは将来の自分なんだから、今の若い人たちももっと自分で勉強する努力が必要だろ。
―アメリカの大学への入学を決めたのはなぜか
将来日米首脳会談をやるときに英語が必要だと思ったから。前に親父にそう言ったらおまえは馬鹿かと言われたけど、外相会談までは英語でやったぞ。
少なくとも、アメリカに行けばなんとかなるだろうという考えはあったね。でも正直結構大変だった。当時の自分の力じゃ大学の授業について行けないと思ったから、アメリカの全寮制の高校に1年通ってから大学に行った。全寮制の高校は午後10時消灯だったんだけど、それじゃ次の日の授業の予習ができないから、倉庫にテーブルとランプを入れてもらって、そこで大体夜中の3時くらいまで教科書を読んでたね。
つらい思いをした経験がその後役に立ったという感じはあるよ。ここまでやったから英語を使えるようになったんだと思う。
世界標準の尺度を身に付けよう
―本学学生へのメッセージをお願いします
最近の大学生にどこで就職するの、って聞くと、「え、日本で」という人が99パーセントくらいなんだよね。東北大は優秀な大学なんだからさ、せめて最初の就職先は海外にしてくれよ。最終的に日本で働くにしても、そこで世界標準はこういうものなんだ、っていうのを肌で感じた上で日本に戻ってきてほしい。シンガポールでもドバイでもニューヨークでもシリコンバレーでもどこでもいいから、とりあえず海外行けよと言いたい。まかり間違っても東京で就活なんかするなよ。
東北大の学生さんには、東京なんか見ないで、世界と直接つながりに行ってほしい。ぜひ、視線は太平洋の向こう側に。
(20年1月7日取材)