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【連載】検証 コロナ禍の教室 ①教員 ~見えぬ学生 築けぬ信頼~

  世界中を混乱に陥れた新型コロナウイルス。「テレワーク元年」とも呼ばれた昨年、大学教育の現場ではオンライン授業の本格活用が始まった。2年目となる今年、大学、教員、学生の三者の視点から、オンライン授業について検証を重ねていく。【本号より掲載。全3回予定】



 杉本周作准教授は昨年度、大学院生の講義や全学教育科目を担当した。オンライン授業の印象を尋ねると――「便利かと言われれば便利。でも、好きじゃない」


 もともと、講義のために出張や会議、研究を中断せざるを得ないことも多かったと話す杉本准教授。オンライン授業によって、これらの両立がしやすくなった。学生の中にも、時間や予定に余裕ができた人は多い。他にもパソコンを使った実習が円滑にできるなど、利点は多岐にわたる。


 本学の措置も、かなり効果的だったと振り返る。川内北キャンパス講義室の自動録画機能や、Classroomの導入などは、円滑なオンライン授業の実施に大きく役立った。「こうした措置もあり、オンライン授業でも最低限の講義が可能な体制は整っている」と杉本准教授は語る。


 便利さの一方で、「好きじゃない」というのが本心だ。「オンライン授業への評価は、授業の目的による。成績を上げるだけでいいなら、十分成功している。でも、人として育てる教育がしたいなら、目を見て話さないといけない。そうしてお互いに信頼を得ないと、講義は本当の意味で成功しない。オンラインではそこが上手くいかないし、その意味で好きじゃない」


 実際にオンライン授業では、学生の感情や思いを感じ取れなかった。「見える」ことが大事だと、改めて感じたという。


 「東北大生は優秀で真面目。そのおかげでオンライン授業が成功した面もある」。杉本准教授はこのようにも評価する。その上で、現在の2年生に対しては「スタート時からコロナ禍だった君たちが、何を望んでいるのかを知りたい。もっと要望を声に出して発してほしい」と呼びかけた。


  ◇  ◇  ◇


 「オンライン授業を今後どうするかは、『どんな教育を目指すのか』という大学のスタイル次第ではないか」。突然のオンライン授業は、教育の在り方についての議論を投げかけている。

【第2回に続く】

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