【深田歩の密着!学食バックヤード】~第1弾「杜ダイ編」後編~ 衛生管理 基準厳しく
学食の厨房内を伝える「密着!学食バックヤード」。食事の衛生管理とスタッフの人柄に迫る、川内の杜ダイニング(杜ダイ)編の最終回。
(深田歩)
午後7時30分。昼間のにぎやかさが影をひそめたキャンパスとは対照的に、営業が終了した杜ダイの厨房内では慌ただしい時間が続く。
夕食時に提供したメニューを、一口分ずつ分け取って袋に入れ、冷凍庫へ。「検食」と呼ばれるこの食品は、2週間衛生検査用に保存される。
毎日、多くの学生に食事を届ける学食では、衛生管理がきわめて重要だ。検食の他にも、各食事に含まれる塩分を記録したり、芯温を計測して火の通り具合を確認したりするなど、徹底した管理が行われている。東北大学生協管轄の食堂には、保健所の指導や全国的な衛生基準のさらに上を行く厳しい基準が設けられている。
料理の中心まで火が通っているか、 温度計を刺してチェックする |
営業時間内から続いていた食器の洗浄が終了するのは、7時50分ごろ。厨房の掃除と、ごみをまとめる作業に入る。生協職員の他に、学生アルバイトの姿も見える。スタッフ一丸となって、片付けを進めていく。
出勤から退勤まで、食堂で働くスタッフは立ちっぱなしだ。客足が止まらず忙しいときには、出食口とレジを何度も往復する。しかし、「大変な仕事だが、やりがいを感じる」「調理が楽しい」「学生から『ごちそうさまでした』『おいしかった』と言われるとうれしくなる」仕事をしながら、彼女らの口からはポジティブな言葉が次々に飛び出す。スムーズな提供を支えているのは、彼女らの尋常ならざる気力と体力だ。
昨年11月からアルバイトとして勤務する内山さん(経・2)は「職員の皆さんが優しい」と語る。「これからもこのアルバイトを続けていきたい」と、雰囲気の良さをうかがわせた。
新型コロナの流行が始まった時には、食堂客席の利用が制限。弁当の提供を余儀なくされた。困難にぶつかっても試行錯誤を重ねながら戦った過去を思うと、今の彼女らがいきいきと楽しそうなのにもうなずける。
午後8時20分。ようやく、厨房の電気が消灯する。杜ダイは明日もまた、学生の胃袋を支えるため、元気に一日を駆け抜ける。
【終】