【ブラック企業大賞特集】「大学は学ぶ環境の保障を」~学生団体ハラスメント防止啓発~
学生もハラスメント防止に取り組んでいる。本学の学生で構成される学生団体EquAllは昨年4月、「本学工学研究科の8人に1人がハラスメントを受けた経験がある」とのアンケート結果を公表した。
2021年のシンポジウムの様子 (EquAll提供) |
同団体の藍沢雄貴さん(医工・修1)は、相談窓口の設置など、対応はなされているとしながらも、「学生はハラスメントを受けても、ほとんどが相談できておらず、学内のハラスメントは潜在的に起きている」と指摘。大学は学生や研究者の学ぶ環境を保障する対応をすべきだと、改革の必要性を強調する。
ブラック企業大賞特別賞を受賞したことで、研究室配属の際に「あそこの研究室はブラックだから行かない方がいい」という話が学生の間で出てきたという。「学生が学びたい分野を学ぶことができるのが、本来あるべき大学の姿。それがブラックであることを理由にさえぎられてはならない」
同団体は、シンポジウムの開催などを通じて、学内でハラスメントに関する議論の活発化を図っている。今後はハラスメントを受けた学生が、団結して大学と交渉できる「労働組合の学生版」のような組織の結成を目指す。
もしハラスメントを受けたとして、社会人であれば労働組合に加盟して団体交渉をしたり、病気になれば労働災害の認定を受けたりできる。しかし現状では、学生にはこのような権利や救済措置がない。「学生版労組」を作ることで、ハラスメントをはじめとした学生が大学生活で直面する悩みを解決し、学生の学ぶ権利を守ることにつなげたい考えだ。
大学に対しては、学生や教員、弁護士、カウンセラーなどを含んだ第三者機関によるハラスメント被害の救済を求める。藍沢さんは「大学は加害者と被害者双方に対して公平な立場に立ち、被害者がしっかりと救済される制度を作ってほしい」と話した。