【ニュース】本学が国際卓越研究大学に申請 〜研究実績と運営体制 焦点〜
世界最高水準の研究力を持つ大学を実現するため、政府が基金で支援する国際卓越研究大学制度の公募に、本学を含む国内10大学が申請した。支援の対象となるのは数校程度で、秋ごろにかけて段階的に審査が行われ、来年度から助成が開始される予定。
国際卓越研究大学は世界トップレベルの研究大学を形成するため、研究実績や運営体制などについて基準を満たす大学を、独自の体制強化計画の提示に基づいて国が認定する新たな制度。認定されれば、10兆円規模の大学ファンドによる助成を含む総合的な支援を受けることができ、規制緩和として授業料設定の柔軟化など規則が一部変更される可能性がある。期間は最長で25年とし、認定する大学数をはじめ、支援は段階的に拡大する。
文部科学省によると、認定する大学には①国際的に卓越した研究成果を創出できる研究力②実効性の高く、意欲的な事業・財務戦略③自律と責任のあるガバナンス体制—が求められる。資金の好循環を生むため世界の主要大学に並ぶ事業規模の成長が必要とされるほか、半数を目安に学外者を組み込んだ最高意思決定機関を新設するなどの制度改革を実施し、安定的かつ継続的な経営を目指すこととなる。
大学が一定期間連続して体制強化計画の目標達成に至らない場合などには、認定の取り消しが行われる。
申請したのは本学のほか受け付け順に早稲田大、東京科学大(仮称。東京医科歯科大と東京工業大による共同申請)、名古屋大、京都大、東京大、東京理科大、筑波大、九州大、大阪大の10大学。
制度に懸念「学問の自由損なう」
認定されれば過去に類を見ない支援を受けられる本制度だが、研究活動や大学自治、大学ファンドの性質などの観点から疑問や批判の声も上がっている。本学学生の制度への意識を探るため、本紙は先月アンケート調査を行い、23件の回答を得た。調査によると本制度を「知っている」と答えた学生は39%で、「知らない」が35%、「聞いたことがあるが、内容はよくわからない」が26%と続いた。
本学が申請したことに対しては、研究力や研究環境の向上への期待を理由に39%が「賛成」。一方、13%の反対意見で「学問・研究の自由が阻害される」「大学での学びを実学のための副次的なものへ変える」といった懸念が示された。「どちらでもない」と回答したのは35%で、「他大が申請している」ことを踏まえつつ「工学や医学など注目を集めやすい分野以外の学問が蔑ろにされないか心配」とする意見がみられた。