統合日本学センター設立 ~分野横断 国際ネットワークの中心へ~
昨年10月、本学の新たな研究機関として統合日本学センターが創設された。今月20日までメンバーを国際公募し、本格的な始動に向けて準備を重ねる。日本学とは何か。統合日本学センターが果たしていく役割とは。副センター長で、アーカイブ学に精通する加藤諭教授に聞いた。(三川光樹)
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統合日本学センター 副センター長 加藤教授 |
―日本学とは
日本に関することの研究であれば、広く「日本学」に包含することができます。海外でも、さまざまな地域研究の一つとして取り組まれている学問です。
―センター設立の経緯は
本学は「日本学国際共同大学院プログラム」や「支倉リーグ」などと連携し、日本研究の国際的なつながりの中核を担っていきます。現在、アジア諸国に関する研究が盛んになる中、日本学の研究者のポストが減少している状況です。長い歴史で培われた多くの学術資源を持つ本学が、日本学の拠点を設立し、国際ネットワークを主導することで、世界中から優秀な研究者を集めることが可能でしょう。
―「統合」の持つ意味は
二つの意味があります。一つは研究手法の統合です。日本研究のアプローチは、国内と海外で傾向が異なっています。日本では特定の事例に対する実証的な研究が主流ですが、海外では理論・方法論を扱う研究者が多いです。国内中心のミクロな観点と海外中心のマクロな観点の統合で、日本学を深化できるでしょう。
もう一つは、データ駆動型研究と人文学の統合です。デジタル化技術・AI技術を活用し、本学の「総合知デジタルアーカイブ」とも連携します。デジタルアーカイブを通じて、本学の学術資源を国際標準化し、世界へ発信することが目標です。センターでは情報技術の研究者も募り、本学のアーカイブを進化させていきます。
―センターの担う役割は
研究に特化した、日本学の世界的な拠点という役割を担わせたいです。昨今は研究者が雑務に割く時間が増えているため、研究だけに集中できる場所が必要だと感じています。本学と統合日本学センターが中心となり、世界で最も日本研究がしやすい環境を提供したいです。
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前例のない事業に取り組む統合日本学センター。日本研究の中心的立場から、多くの革新を起こしていくことが期待される。