【ニュース】富永総長就任会見 新体制 卓越大認定に注力 ~前総長の意思継ぎ「新しい大学に」~
本学の総長に就任した冨永悌二氏が先月5日、会見を開き、今後の抱負を語った。
会見する冨永総長
=先月5日、片平北門会館
冨永氏は先月1日付で第23代総長に就任した。新型コロナウイルス感染症のパンデミックがあった2020年以降を含む4年間、東北大学病院長および副学長(病院経営担当)を務めていた。当時3000名以上の職員を抱える大学病院で陣頭指揮を執った経験から、「今後も十分なコミュニケーションによって情報や理念を共有し、全ての構成員との共感を大切にして組織運営に当たりたい」と決意を述べた。
昨年、世界トップレベルの研究力を目指す「国際卓越研究大学」(以下、卓越大)の初の認定候補に選ばれたことで注目が高まっている本学。正式に認定されれば政府から10兆円規模の「大学ファンド」の運用益を元に、最長25年間助成を受けられる。現在もその選考の過程にある。冨永氏は昨年4月から本学理事・副学長(共創戦略・復興新生担当)として役員を務め、卓越大の申請にも深く関わってきた。大野前総長の意志を継ぎ、最終認定を獲得することを当面の目標とし、「我々が卓越大の構想で掲げた目標は極めて高いものではあるが、情熱と強いリーダーシップを持って目標達成に努めていきたい」と意気込んだ。
「25年後には全く新しい大学に生まれ変わっているということが卓越大での計画です」。日本の研究力は右肩下がりになっており、大学には教育やガバナンスなど変革が必要だと冨永氏は考える。「若者の活躍が不可欠であり、若い研究者がより一層力を発揮できる環境を整えたい」とし、解決策として本学学際科学フロンティア研究所の例を挙げた。同研究所では実績を上げた若手研究者を50人ほど集め、本学が個別に資金を投入するなどして若手研究者の独立を支援している。これをモデルとして、さらに研究支援人材の雇用など、本学の研究環境全体の改善を図ることが期待される。
このほか、文系と理系の垣根を超えた「総合知」を創出することや、被災地の復興に向けて役割を果たすこと、今月1日に運用を開始した次世代放射光施設(ナノテラス)を社会との共創の場とすることなどの抱負を述べた。