【インタビュー】50cc原付生産終了へ 新基準原付「安くはならない」
11月から排ガス規制が強化され、排気量50cc以下で内燃機関(IEC)エンジン搭載の原付が販売終了となることが確実視されている。それに伴い4月から原付免許で運転できるモデルが拡大される。原付はこれからどう変わるのか。ハヤサカサイクルの中里圭佑さんに話を聞き、今後の動向を探った。
生産が終わるホンダ | スーパーカブ50ccシ | リーズ(=同社提供=) |
50cc バイク(右)と 125cc バイク。 | 新基準原付も 125cc 程度の大型化 | が見込まれる(=同社提供=) |
■排ガス規制強化で生産終了へ
排気量50cc以下の原付は、11月までにメーカーが生産を終了する見込みだ。現行原付に新たな排ガス規制が適用され、それをクリアするための開発コスト増加が原因とみられる。ただ現在、原付は全国で約450万台利用されている国民の生活に密着した乗り物であるため、原付として乗れる車両区分の見直しが要望されていた。
そこで4月から現行原付に加えて運転が認められるのが、排気量を125cc以下まで拡大し最高出力を4kW以下に抑えた新基準原付だ。排ガス規制適用後も現行の排気量50cc以下の原付は運転できる。また新基準原付を運転する際の交通ルールも現行原付と同じだ。今後は現行原付の生産が終了し、新基準原付が販売される可能性が高い。また現在では動力機関をエンジンから電動モーターにしたEVバイクも国内メーカーから販売されており、一部車種は購入補助金制度の対象となっている。
■現行原付より安くはなりにくい
中里さんは新基準原付の価格について「現行のものより安くなる要素が見当たらない」と話す。現在の125ccクラスのバイクの出力を抑える設計で発売すると考えると「従来の車両本体価格と開発費のコストを鑑みるにより安くなるとは考えにくい。現状のような手ごろな価格での販売は難しくなるのでは」とした。
■買うなら現行原付を
「もし原付を買うのであれば、今のうちに現行のものを買った方がいい」と中里さんは言う。現時点ではメーカーからの情報が少なく不確定要素が多いため、どういったものが販売されるか不透明な部分が多いからだ。ただ現時点ですでに50ccの需要がひっ迫しており「新車の取り扱いが困難で中古市場からの仕入れも難しい。どの店でも在庫が枯渇している」と語った。
■原付免許だけの取得がより難しく
原付に対するさらなる課題に、原付免許のみの取得が「より難しくなっている」ことを中里さんは挙げる。免許センターや自動車学校で原付講習の日数が削減されているからだ。それを受けハヤサカサイクルは、国内で初めてバイク販売店主催の原付講習を実施する。