【令和7年度報道部入部試験問題】国語
次の文章を読んで、以下の問に答えなさい。
(略)三十五六万も人口があり、おまけに仙台市に住みきれない勤め人などが周辺の町村に七八万もいるという人口をもちながら、こんなに工場のない都市というのは珍しいのだろうね。ここへ来るまで、こんなに工場なしの大都市があることを私は考えていなかった。
これを物資の集散地というのかね。また地方官庁所在地かね。むかしは二師団所在地、つい先ごろまでは警察予備隊所在地、東北大学と、宮城刑務所という刑務所中の大物がある。(略)要するに物資だけではなく人間の集散地でもある。したがって土着の市民は集散する物や人のサヤをとって生活しているようなものだ。(略)自分はブローカーであり、素人下宿である。そういうような表情がありますね。なんしろ、これだけの都会で、東北の中心で、三百年も大藩の城下でありながら、市当局でヘンサンした市史というものを持たないのだ。パンフレットのような薄ッペラなものがあるだけさ。お膝元に東北大学という官立の総合大学があって、市史のヘンサンがないのだから、気風の一斑を知るべきだ。つまり学問は自分がやるものではなくて、自分は素人下宿をやろうというわけさ。市史? そんなものが、いるもんか。政宗公は日本一の人物だ。瑞巌寺は日本一の桃山建築だ。松島は昔からの日本三景の親玉だ。それでタクサンでゴザリスデゴザリスでござりすよ。(坂口安吾「安吾の新日本地理」より)
注 二師団所在地:帝国陸軍第二師団の司令部
問1 以下の選択肢の中から、この文章と同じ作者による作品を選べ。
①
富嶽百景
②
桜の森の満開の下
③
悲しき玩具
④
蓼食ふ虫
問2 以下の選択肢の中から傍線部と同じ漢字を含む熟語を選べ。
①
偏差
②
普遍
③
編著
④
扁平
問3 本文を読んでの感想を50字以内で述べよ。