【研究成果】小惑星ベヌー試料 生体関連分子が多数検出 ー本学准教授所属の研究チームが発表ー
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本学大学院理学研究科の古川善博准教授が所属する国際研究グループが1月30日、小惑星ベヌーの試料から、アミノ酸や核酸塩基などの多数の生体関連分子が検出されたと発表した。日本では本学のほか、北海道大、九州大、国立研究開発法人海洋研究開発機構が同研究に関与している。研究成果はNature Astronomyに掲載された。
2023年9月24日、NASA主導の小惑星探査機「OSIRIS―REx」によって、炭素質小惑星ベヌー試料121.6グラムが持ち帰られた。イトカワやリュウグウといった、これまでの小惑星より多量の試料を持ち帰ることに成功。アミノ酸33種、地球上の生命に含まれる核酸塩基全5種など、約1万種にも及ぶ有機窒素化合物が検出された。検出されたアミノ酸分子の右手・左手構造の鏡像異性体は、ほぼ1対1の割合で存在した。地球上の生命に含まれる分子が左手構造に偏る、生命ホモキラリティの謎が深まる結果となった。
小惑星ベヌーはアンモニア濃度が高く、窒素を含む有機物の合成に適している。アンモニアが安定化する低温環境下の、溶液中でこれらの有機物が生成したという地球外有機物合成の新たな知見をもたらした。同研究成果から、太古の地球に生命の源であるアミノ酸や核酸塩基などが、小惑星から降り注いだとほぼ断言できる。
古川准教授は、生命に不可欠な分子である糖を主な研究対象としており、ベヌー試料中に糖が含まれるか分析を行っている。古川准教授は「小惑星試料中に、DNAやRNAを構成する核酸塩基とリン酸は確認されているが、糖は、未だ見つかっていない」と話す。ベヌー試料の分析結果は、現在論文査読中だ。