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【書評】『おいしいごはんが食べられますように』 高瀬隼子 梅雨の書評祭り 4/4

 「頭痛薬飲めよって、思いません?」。「いつものように」頭痛で早退した芦川の仕事を引き受けた押尾は、そう毒づいた。「芦川さんは無理をしない。できないことはやらないのが正しいと思っている。わたしとは正しさが違う」。マフィン、ショートケーキ、マドレーヌ。芦川は仕事を早退した翌日、お詫びに手作りのお菓子を配る。二谷はそれを「感動の演技を見せつけ」ながら食べる。



 仕事ができて努力家の押尾は、人と食事することが苦手。職場でうまく立ち回っている二谷は、食に全く興味がない。料理上手の芦川は「そうしている方が楽だから」いつも笑顔だ。



 「結局我慢する人とできる人とで世界がまわっていく」。皆が我慢しなくて良いように。皆が「おいしいごはん」が食べられるように。居心地がいいはずの職場で、それぞれの価値観はどうしようもなく食い違う。彼らに共感する人も、不快に思う人もいるだろう。あなたはこのごはんを、おいしく食べられるだろうか。



(藤野こころ)




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