【ネット限定】 一番町四丁目商店街に若者を呼び込むには 学生主体で企画を考える
本学全学教育科目「ライフ・キャリアデザインA」の特別課外プロジェクト「地域デザイン超実践コース」の中間発表が先月6日、川内北キャンパスA200教室で行われた。同プロジェクトはNHKで放送中の番組「東北ソリューション」、株式会社ユーメディアの「project blUe」とのコラボによって実現した。仙台市青葉区の一番町四丁目商店街を会場に行われるイベント「Bang BAR SENDAI(バンバルセンダイ)」に若者を呼び込むことを目指し、学生が主体となって企画を考え、実践する。中間発表では、プロジェクトメンバーの学生による企画案のプレゼンテーションの後、地域メンターからのフィードバックが行われた。
「吹き抜けアーケードの解放感によって日常生活での鬱憤を、音楽と本音の言葉を載せたアートで思いっきり解き放ちたい」。
「魂のチートデイ」と題したコンセプトには、このような思いが込められている。「商店街は買い物をする場所」だというステレオタイプを壊し「歌える音楽FESと本音アート」によって若者を呼び込むきっかけ作りを目指す。既存のイメージにとらわれない、この斬新なアイデアは、イベントの舞台である商店街とターゲットである若者への丁寧な分析から生まれた。
■一番町四丁目商店街の強みと課題
学生らはまず、フィールドワークや商工会への聞き取りなどから、商店街の強みと課題を考えた。
強みは人気店のグルメを開放的な空間で楽しめること。市内最長の337メートルに渡る吹き抜けアーケードが魅力で、にぎわいが爆発する要素は十分だと評価した。
一方で、人通りはある程度見られたが、場所によってにぎわいに差があった。屋根がないため天候に左右されやすい側面もある。
学生らは特に、将来仙台のにぎわいを担うであろう学生の利用が少なく、買い物をするだけの空間として停滞している点に着目。商店街を持続的に残すためには、その役割を捉え直すことが必要だと考えた。
■今の若者が求めるものは
イベントのコンセプトを考えるにあたって学生らは、若者の「新しい遊び場、友達と行ける場所」へのニーズに注目。これまでの分析で得た知見を踏まえ、仙台駅前との差別化も意識した上で、商店街のなかに「ふと立ち止まる場所とみんなで行ってわいわい楽しめる場所」を作ることを目指すことに決めた。
さらにターゲットである若者について分析。今の未成年には「本音を表現できる場」が不足しているのではないかと考えた。そこで、本音を表現し、自分を解放するということと、吹き抜けアーケードの開放感を掛け合わせ、「歌える音楽フェスと本音アート」が楽しめるイベントとして「魂のチートデイ」を提案した。
「本音アート」では、来場者が自由に書いた本音をキャンバスに張り付けることによって、一つのアートを作り上げていく。雰囲気作りにつなげる意図のほかに、常設モニュメント化も見据えている。
「解放感」を味わえる音楽ステージの開催も検討中。団体による演奏を楽しめるだけでなく、来場者が参加できる弾き語りスペースも設置する。近くを通りがかった人々の興味を引く意図があり、特に若者の参加を目指している。
さらにイベントに加え、個人店への入りにくさを解消するための「トリセツMAP」の制作も、ユーメディアに協力する形で取り組めないかと考えているそうだ。
■実現可能性に課題も「ここからが勝負」
プレゼンテーションに対してフィードバックを行ったのは、スパークル株式会社代表取締役・福留秀基さん、一般社団法人ONE TOHOKU HUB代表理事・手島彗さん、株式会社深松組取締役経営企画室室長・深松栞さんの3人。それぞれ東北を舞台に活躍し、若者支援に力を入れている。
手島さんは、「現場の声」を聞くことの重要性を強調。アンケートに力を入れるなど、リアルな声を取り入れるべきだと評価した。チートデイをどう具現化するかなど、まだ課題は多いとして「授業後もぜひ継続してやってみてほしい」と期待を寄せた。
福留さんは「きれいに、大人向けにまとめるだけでなく、学生ならではのピュアさも生かしてほしい」とアドバイス。資金面など、学生の立場にしかない強みがあるとし、「気合いとノウハウ」によってプロジェクトを進めてほしいと語たった。「10年20年先、街が変わっていくきっかけになる」としてエールを送った。
深松さんはコンセプトのユニークさを評価した上で「実現可能性」の課題を指摘。音楽フェスでの出演団体の依頼について、より具体的に検討する必要があると伝えた。また福留さんの発言に同意し、「ここからの3週間が勝負」と語った。「全力で取り組めば、次につながるものを得られる」と鼓舞した。
中間発表の感想を尋ねると、プロジェクトメンバーの渡邉祥也さん(法・2)は「中間って感じがしましたね」と笑顔を見せた。「ある程度は出来上がっているけれど、実行するにはまだ足りないという印象でした。現実にするために少しずつ動いていこうと思う」と語った。岡崎和奏さん(法・2)は「商店街の方々の希望に加えて、自分たちの希望ももっと伝えていいのかなと感じました。時間も差し迫っていますが、その中で頑張っていきたいです」と意気込んだ。
企画は7月25日~27日に、仙台市青葉区一番町四丁目商店街で開催されるBang BAR SENDAI(バンバルセンダイ)で実施予定。詳細は各種SNSなどを確認してほしい。
フィードバックを行うメンター陣。右から福留さん、手島さん、深松さん
フィードバックを受け、議論するプロジェクトメンバーの学生たち