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【研究成果】ペンタグラフェン 理論設計に成功 ~北京大学と共同研究~

 未来科学技術共同研究センターの川添良幸教授と北京大学の王前教授の研究グループが、通常のグラフェンとは全く異なる性質をもつペンタグラフェンの理論設計に成功した。第一原理シミュレーション計算による理論計算により安定なことが証明されているので人工で作成可能であり、従来の物質では見られない優れた性質を活用した幅広い範囲の工業利用が期待される。

 炭素の同素体としては、フラーレンやカーボンナノチューブ、グラフェンが知られている。特にグラフェンの原子構造はグラファイト(すす)の一層そのものであり、六角形をつくるように炭素原子が結合している。
今回発見されたペンタグラフェンの物理・化学的性質としては、大きく4つの特徴を挙げることができる。
 まず、可視光を全て透過するという性質だ。電子状態計算により導かれた性質で、酸化亜鉛に替わる透明な半導体が実現できる。
 次に、負のポアソン比をもつ点である。圧力をかけた方向の縮みと垂直方向の伸びの比をポアソン比という。これが負になるということは、一方向に圧力をかけるとその方向に縮むだけではなく、垂直方向にも縮むことを意味する。この性質を利用し、通常の材料に混合すれば圧力をかけても、その垂直方向には伸縮しない画期的な新材料を作ることができる。
 三つ目に、少量の電子を追加する(ドーピングする)と超伝導体が実現できる点。超伝導体とは、非常に低い温度の条件下で、電気抵抗がゼロになった金属のことであり、様々な特性をもつ。
 最後に、グラフェンの巻き方によらず半導体であること。従来のカーボンナノチューブが半導体と金属の混合物であるための電子物性問題を抜本的に改善できる。
 二次元面は、三角形、四角形、六角形で埋め尽くせるが、正五角形では埋め尽くせないことが、タイルの敷き詰め問題として知られている。しかし、エジプトのカイロ市にはカイロタイリングとして知られる変形五角形のタイル敷き詰めがあり、それと同様の形が炭素のナノ構造でも実現できるという画期的な発見だ。
 「グラフェンは二次元である」という固定概念を捨て、多少の凹凸を許して探索するという新たな視点で思考することが、今回の発見につながった。炭素のみで構成されるこの新材料が実験的に合成されれば、レアメタルの輸入依存のような資源問題もなく、日本独自の開発を行うことも夢ではない。川添教授は、「数学や化学、物理学といった分野でも、正しいと思っている常識が実は間違っていたということはよくある。何事も本質を見極めるために、まずは自分で考えてみること、自分で手を動かして計算してみることが大切だ」と語った。
研究成果 4877258985567239040

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