【研究成果】鳴子火山地域の沈降 ~東日本大震災の影響~
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本学理学部地球惑星物質科学科の夏季フィールドセミナーにおいて、東北アジア研究センターの後藤章夫助教の指導する学生グループ(杉山賢一、塚本雄也、藤田和果奈、渡辺慶太郎)が、東日本大震災後の鳴子火山地域の沈降を実地測量で確認した。鳴子などの火山地域には、東北地方全体の傾向とは異なる局地的な沈降が見られることを、衛星レーダー観測の結果から解析した論文があり、今回はこれを水準測量によって裏付ける結果となった。
(写真:池月~鳴子間の水準観測結果)
東日本大震災以降、東北地方全体は日本海側から太平洋側にかけて東側に傾くように沈降していることが確認されている。しかし、地震の5ヶ月後の鳴子火山地域では、測量を行ったおよそ10キロメートルの区間に関しては、それとは逆に西側へ傾いて沈降しているという結果になった。今回もこの時と同様の測量を行い、当該地域が引き続き西側に沈降し続けていることが確認された。
逆断層型地震の多かった東北地方は、震災後正断層型地震が多発している。これは東北地方に加わる力が圧縮力から張力に変わったためで、カルデラの内部のマグマが横に引っ張られて沈むために、東北地方の火山は沈降していると考えられている。今回の測量の結果はこの考えに合致する。
今後の研究の方向について、東北アジア研究センターの石渡明教授は「マグニチュード9クラスの地震の後は火山の噴火が多く起こっている。貞観の津波と鳥海山の噴火が近い時期に起こったのは、その一例と考えられる。震災後の東北地方においても、蔵王山や吾妻山において、実際に噴気や火山性微動の活発化が観測されている。火山活動については、引き続き注意深くモニターしていかなくてはいけない」と述べている。