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(過去記事)【研究成果】音楽で運動後の心疾患リスク低減か ~併用療法開発へ研究続く~

 医学系研究科の上月正博教授らのグループは、音楽が運動後の自律神経活動に良い効果をもたらし、副交感神経の低下を抑えることを実証した。運動療法と音楽療法を組み合わせることで、様々な疾病に対する新しいリハビリテーションプログラムの確立につながることが期待される。




 心大血管疾患患者は、自律神経である交感神経と副交感神経の活動のバランスが乱れている。このアンバランスは運動を習慣的に継続することで改善する。運動を終えると、心臓へのストレスを回避するために、運動中には低下していた副交感神経活動が急激に回復する。回復反応の遅れは致死性の不整脈の発生や心臓突然死と関連している。運動を安全に行う上で、運動後の副交感神経活動の回復を高め、心臓へのストレスを減らすことは重要な課題である。

 一方で、音楽には自律神経活動を調整する効果があり、気分を落ち着かせる音楽は副交感神経活動を高めることが明らかになっている。

 研究に参加したのは平均年齢27・9歳の健常な男女26人。被験者に対して、何もしないで座っている「安静セッション」、被験者自身が選んだ気分を落ち着かせるような音楽をヘッドホンで聴きながら座っている「音楽セッション」、ややきつい自転車こぎ運動を行う「運動セッション」、音楽を聴きながら自転車こぎ運動を行う「併用セッション」という四つのセッションをそれぞれ別の日に15分間行い、セッション前後の自律神経活動を測定し比較した。

 その結果、音楽セッションではセッション後の副交感神経活動が増加し、運動セッションでは活動が低下した。併用セッションではセッション前後で活動の大きさはほぼ同じであった。このことは、被験者自身が選んだ気分を落ち着かせるような音楽が運動による副交感神経活動の低下を和らげたことを意味する。「音楽によって運動療法を始める人のストレスをなくし、運動の安全性を高めていきたい。患者自身が好きな音楽を用いて、その人に合った治療ができれば」と上月教授は語る。

 今後は運動と音楽の併用療法が病気の患者にはどのような効果を与えるのか、併用療法を長期的に続けた場合に自律神経活動はどうなるのかを研究していく。
研究成果 3948982193783246767
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