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【ネタ記事】服を着込んで寒さ対策 ~みやびな十二単を目指して~

 あぁ、寒い。雪が降ってきましたね。こんな夜はこたつに当たって、鍋でもつつきたいものです。それでは、近所のスーパーに買い物に行きましょうか。おっと、そんな恰好では風邪をひいてしまいますよ。仙台の冬は、あまり優しくはないようですから。

 そうだ 重ね着、しよう――




 さて、気分はまさしく京都にいるのだけれど、場所は部室。あの情緒あふれるCMソングも吹き飛んでしまうほど、ただただ寒いクリスマスイブに挑戦するのは「十二単」だ。十二単とは、平安時代の女性用の装束のこと。街にはクリスマスの歌が流れるイブに、恋人のいない寂しさを洋服で満たそう、ということで、上着を12枚着てみた。

 まずは、ヒートテックを2枚着た状態からスタートした。ちなみに、関東出身の筆者にとって、初めての仙台の冬はとても厳しい。厳しすぎる。末端冷え性であるため、特に足は、感覚がなくなるほどに冷たい。そんな筆者はいつも、着膨れしない程度に重ね着をしている。ヒートテックは、常に2枚身に着けている。寒がりには必需品だ。

 3枚目はストライプのシャツ。序盤は薄手のシャツで枚数を稼ぐ作戦だ。続けざまに、赤のチェック、ピンクのチェックを羽織っていく。さすがとんぺー生。私物のシャツにはチェック柄が多い。

 しかし、6枚目となる花柄シャツ。「うわ、きっつ……」筆者の表情が曇り始める。肩回りが締め付けられるような感じになる。続くドットチェック柄のシャツを気合で着込む。しかし、8枚目の赤のブロックチェックシャツを迎えた時、筆者の体の可動域はすでに限界だった。「先輩、これ着させてください……」この8枚目以降、その場にいたS先輩に、着付けをする衣紋者(えもんじゃ)の役をしてもらう。

 9枚目は黄色のチェックのジャケット。今更ながら、派手な服を多くチョイスしてしまった。取り合わせの美など、ガン無視である。S先輩に手伝ってもらって何とか袖を通す。10枚目の緑のチェックのブルゾン、11枚目の緑のトレンチコートは、袖部分にゆとりがあったのが功を奏し、楽に着ることができた。しかし、肩に乗る重量はすさまじい。身動きをとるのも容易ではない。十二単の大変さを痛感した筆者であった。

 そして、ついに最後の12枚目。筆者が選んだのは、朱色の半てん。肌寒いワンルームで、筆者が常日頃から愛用しているものだ。その色からは、京都・嵐山の紅葉が目に浮かぶようである。今まで着てきた11枚の服の上に着ると、うん、なんとなく十二単に見えなくもない。さらに部員Mに借りた黒のスカートを合わせ、部室にあったけん玉を手に正座してみると、おぉ、確かにそれっぽい!  見える、見えるぞ! 筆者の後ろに渡月橋が見える! 

 そんなこんなで疑似京都気分を味わいテンションの上がっていた筆者であったが、一枚一枚服を脱ぐ度に現実に引き戻される。そして最初のヒートテックだけに戻ると、重ね着をしたためにかいた汗で体が冷える。「うぅ、さむっ……」味気ない部室でもそもそと服を着こむ筆者なのであった。そうだ、今年は京都、行こう……。
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