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【研究成果】月からの隕石にモガナイト ~水の存在証明へ~

 先日、本学の研究チームが、月から飛んできた隕石の中に鉱物「モガナイト」が含まれていることを発見した。モガナイトとは水の蒸発によって生成される鉱物の一種で、今回の発見により、月の表面では太陽光による熱で水が蒸発してモガナイトを生成し、月の地下では低温環境であることから氷として埋蔵している可能性が示唆された。先日、報道部は今回の研究の筆頭著者である学際科学フロンティア研究所新領域創成科学研究部の鹿山雅裕助教に話を伺った。




―モガナイト発見の経緯

 隕石の成分を調べるためには、まず隕石を加工し、その後に装置を使って分析します。その手法の一つに隕石を粉砕してその粉末の平均的な成分を調べる全岩分析と、もう一つは隕石を薄いプレートにスライスしてその表面を高い空間分解能で調べる微小部分析があります。今回は極めて小さな鉱物の分析を目的としたため後者の方法を使い、酸素とシリコンからなるシリカ鉱物を発見しました。

 次にこのシリカ鉱物がどのような種類のものか、具体的にはその結晶構造を決定しなくてはいけません。そこで用いたのがラマン分光法という手法です。これは特定の波長の光を調べたい物質に当てて、その反射光の波長を調べることにより物質の中に含まれる原子の振動から結晶構造を特定する手法です。もともとは月隕石に含まれるシリカ鉱物は石英やトリディマイトなどのありふれたものと考えていましたが、それとは異なるなじみのない特徴をもつ反射光が得られ、詳しく調べてみたらそれがモガナイトであったわけです。


―月に水があることの意義

 水は宇宙での生活や宇宙旅行をするうえでたいへん貴重な資源です。飲料水としての活用はもちろん、ロケットのエンジンに使われる水素燃料としても利用することができます。月で水を回収することによって月へ行く荷物を少なくすることができますし、月を経由して火星に行く場合には月の水を活用することで年間100兆円以上もの費用を浮かせることもできると言われています。

―普段の研究

 月隕石やアポロ・ルナ試料の微小部分析、さらに月の環境を再現したデータ収集など、月探査計画の実現に向けた研究を行っています。将来のミッションへの貢献が少しでもできればと考えています。

―東北大生へ一言

 今回の発見に至った経緯は、一つひとつの地道な分析や考察の積み重ねの結果と考えています。わからないことをそのままにしておくのではなく、納得できるまで追求する、この小さな一歩が大きな成果につながると信じています。東北大学の学生の皆さんには地道な努力を惜しまずに学業に励んでいただきたいと考えています。
研究成果 1177541455080179828
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