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【新入生向け2019】バイト門前払い記 ~何度負けても諦めない~

 新入生の皆さん、入学おめでとう。長く苦しんだ受験生活から解放され、これから始まる新生活に胸を躍らせていることだろう。大学生になったのでアルバイトを始めたい、という人もいるはずだ。ここでアルバイトの面接で9回敗北した筆者が、敗北の先輩として、皆さんにバイト敗北の歴史を伝えたいと思う。「東北大版しく○り先生」によるバイト門前払い記である。刮目してご一読いただきたい。


 筆者がアルバイトを探し始めたのは夏休み後半の9月。1セメスターで大学生活の流れを把握し、次の2セメスターでアルバイトを始めるつもりだった。いつからアルバイトを始めるか迷うかもしれないが、4月からアルバイトを始めた人でも、すんなり順応できたという人や、反対に新しい環境が二つ重なりつらかったという人もいる。自分に合う時期に始めるのがよいだろう。

 仙台には多くのアルバイトの雇用先がある。業種もさまざまだが、筆者が狙ったのは飲食業だ。食べることは好きだが自炊をしない、自他共に認めるずぼらな筆者。賄いは神からの贈り物だ。賄い付きの飲食業に絞って申し込んでいく。「すぐに受かることができるだろう」とこの時の筆者は状況を楽観視していた。立てたフラグは折られる宿命であるというのに……。

 当たり前のことだが、良いと思うものには他人も飛びついてくるものだ。そしてここは学都仙台。あまたの大学生は砂糖にむらがるアリのように、良職場をむさぼっていく。面接で熱意を訴えても、条件によっては当たり前に落ちる。求人サイトでアルバイト募集を探し、電話をして履歴書を書き面接を受けるという一連の作業に筆者はたちまち慣れてしまった。ちなみに、合格は面接から1週間以内に連絡されることが多く、落ちた場合は連絡が来ないということを面接時に伝えられるところが多い。合格連絡を待ち続ける筆者の背中はハチ公さながらの孤独に満ちていただろう。

 悲しみに暮れる筆者だったが、思考停止状態で申し込んだ9回目の面接に落ちたとき、自分の何かがまずいのではないかという気持ちがようやく芽生えた。良かれと思ってやっていたが、強気に「雇え!」と突進していくような、熱意頼りの今の姿勢は雇用主側から見ると「なんか怪しいやつ」なのではないだろうか。ようやく世間の真理を垣間見た筆者は、あまりの衝撃にうめく。アルバイトを経験したことがない新入生の皆さんにも知っておいてほしい。飲食業のアルバイトで基本的に重要なことは、シフトを埋めることだ。信頼は労働の中で徐々に得られるもので、初対面で勝ち取るものではないのである。19歳、人生の気付きだった。

 ついに迎えた10回目の面接。精神は強い方と自負する筆者だが、10回目でも駄目なら幼児のように暴れてしまう危険性があったため、自然と肩に力が入る。だがこれまでの反省を踏まえ、リラックスして面接に臨んだ。幸い10回目のアルバイト先は友人から紹介してもらったもの。可能性にかけ面接に挑んだ結果、遂に念願の合格、採用の運びとなった。これまでの苦労が走馬灯のように筆者の頭に浮かんでは消え、夢が枯野を駆け巡る。報道部の面々からの祝福の言葉を受け取りながら、これまでの長い道のりを思い出した筆者は虚無のまなざしで空を見上げた。おそら、きれい。

 努力は実る……リトライすれば。強くてニューゲームは不可能でも、精神さえ強ければ落ちても次に向かえばよい。意欲と怪しさを履き違えず、しっかりと誠意を見せればいつか伝わるものだ。厳しい受験戦争をくぐり抜けてきた皆さんなら、より良いアルバイトを見つけ、受かることができるはずだ。妥協と譲れないものの狭間で戦う皆さんを応援したい。健闘を祈る。
新入生向け 9052679513549643012
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