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【一言居士】―2019年入学お祝い―妹

年末年始の休みを利用して帰省した。電車を降りて、3カ月ぶりに故郷・宇都宮の土を踏みしめる。そして駅前に立ち込める餃子の匂いを胸いっぱいに吸い込んだ。ああ、帰ってきたな。しかし、私の気分は沈んだままだった▼私には五つ年の離れた妹がいる。だが3年前を最後に、口をきいた記憶がない。ささいなことでぶつかり、激しく言い合った。関わらない方が身のためだと悟った私は一生話すまいと心に決め、昨春仙台へとやって来た▼帰省を前に私は20歳の節目を迎えた。人生を振り返り、ふと妹との仲が良かった日々を思い出す。同時に、妹とにらみ合い、ののしり合った日々も思い出された▼実家に着き、体を休めていると塾から帰って来た妹とリビングで鉢合わせた。張り詰める空気。だが、それを割るように私の口が開く。一瞬の沈黙の後、妹の声が返ってきた。数年ぶりの言葉のキャッチボールだ▼なぜ自分からボールを投げたのだろう。大人になったからだろうか。今でもよくわからない。だが、今後故郷の街並みを見て、気分が沈まないことは確かだ。  
(文責:原中)
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