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【先生、質問です!】(3) 東北アジア研究センター・佐野勝宏教授 ~温泉で気分転換~

 「先生、質問です!」第3回目の今回は、東北アジア研究センターの佐野勝宏教授。今年4月に本学に着任した佐野教授に、研究や日々の生活について伺った。



―研究について

 専門は先史考古学です。人類の進化と道具の発達の関係について研究しています。ヒトは700万年前に誕生し、260万年前から石器を作り始めました。私は、260万年前から1万年前、つまり文明を築く前のヒトの生物学的な特性に関心をもち、研究しています。日本の研究者の中では、最も古い時代を研究対象にしていると思います。

 研究から人類の進化とヒトの道具の発達には相関があることは判明していて、私は道具と認知能力の発達の関係に関心があります。特に興味があるのは、ネアンデルタール人等の旧人と、私たちホモ・サピエンスとの違いです。

 ネアンデルタール人は、ホモ・サピエンスと同じくらいの高い知能や技術力をもっていましたが、4万年前に絶滅しました。一方、ホモ・サピエンスは生き残り、現代まで繁栄しています。

 なぜネアンデルタール人は絶滅し、ホモ・サピエンスは生存できたのか。理由はまだ分かっていません。

 この謎を解明するために、私は弓矢や投槍器(やりを遠くに速く投げる補助具)といった狩猟具がいつ出現したか研究しています。狩猟具の使用は、生存競争を有利にします。

 これらの狩猟具は角や木といった有機質のもので作られます。そのため、分解されてなくなりやすく、起源は分からないままでした。

 私は、突きやり、投げやり、弓、投槍器などの狩猟具の投射実験をして、狩猟具の先にある石器の損傷パターンを調査しました。分析の結果、投げる速度と損傷パターンの相関を見つけ、どのような狩猟具で狩りをしていたのか復元できるようにしました。

 この技術は、イタリアで最も古いホモ・サピエンスの化石が出土したカヴァロ洞窟での研究に用いられ、投射具を使用していた痕跡を突き止めるのに寄与しました。現在、イタリアの研究チームと協力して、ネアンデルタール人絶滅の謎の解明を目指しています。

―休日の過ごし方と好きなことは

 自宅にいる時は、家族とのんびり過ごすのが好きですね。現在は単身赴任中なので、休日は家事をして、時間が余ったら研究する日が多いです。特に趣味はないんですよね。だから、一人でいるときは、家事と研究以外は何もやりません。 
 
 好きなことは、温泉に行くことです。関東に住んでいた頃は、家族と一緒に箱根や草津によく行きました。東北地方だと鳴子温泉がいいですね。

 あと、お酒が好きです。特に日本酒はよく飲みます。お酒はなんでも飲みますが、ウォッカだけは好きではありません。

―本学の印象は

 「質実剛健」なイメージがあります。学生も、真面目で武骨な人が多いですね。若い時は、基礎的な作業の意味を見出しにくく、ともすると疎かにしがちですが、基礎をきちんとやる点は、本学学生のとてもいいところです。

 一方、周囲に大学が多くないという環境的な理由もあると思いますが、外の世界を知ろうとしない傾向があるように思います。指導教官の言うことを素直に受け入れ、研究を行う人が多いです。

 それ自体はとても良いことですが、日本や世界には、素晴らしい研究者がたくさんいます。学会に積極的に参加してさまざまな研究者から話を聞き、情報を相対化して考えるようになると、独自の視点が開けるのではないかと思います。

―本学学生へメッセージを

 学生自身は、日々の生活を忙しいと思いがちですが、大学生時代が一番自分の時間を自由に使えます。知りたいことややりたいことを自分の頭で考えて行動してください。どうしたら目的に近づくことができるのかと考えるプロセスは、非常に重要です。

 何かをとことん突き止めたという経験は、社会に出てからも役立ちます。ぜひこの大学で何かつかみ取ってください。 
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