【一言居士】―2020年4月―新生活
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一人暮らしをしていると、時々無性に寂しくなることがある。特に用事の無い休日に、ふと自宅の窓の外を眺めると、遠くの緑豊かな山々が目に入る。実家の窓から見える風景にどことなく似ている。そんなささいなことで、郷愁を覚えてしまうことがあるのだ▼思い返すと去年の4月、入学式を終えた日、実家へ帰る母を地下鉄の駅まで見送った。エスカレーターに乗り、だんだん姿の見えなくなる母を眺めているうちに、涙が溢れ出てきた。どうにも止まらなくなり、人目を避けながら慣れない道を歩いて帰ったのを覚えている。たった一人で、まだ知り合いもほとんどいない仙台で暮らしていくことに、大きな不安を抱いたのかもしれない。今振り返れば恥ずかしいような、ほほ笑ましいような思い出だ▼新しい環境に身を投じると、耐えがたい孤独や不安に襲われる瞬間がやってくるかもしれない。しかしそれらは一過性のものだ。いつか笑って懐かしむことのできる日が来るだろう。それまで、無理せず信頼できる家族や友人と連絡をとり合うことを大切にしてほしい。
(文責・高野)