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【教員インタビュー】大学院法学研究科 西本健太郎教授

  西本健太郎教授は、国際法学者として研究している一方で、国際連合での条約交渉など国際的な場面でも活躍している。本インタビューでは、研究内容や参加している外交交渉などについて伺った。


研究内容

 国家間の関係を規律する法である国際法が専門です。そのなかでも特に、海洋法と呼ばれる海洋の利用に関する分野を中心に研究してきました。例えば、南シナ海や東シナ海における海洋紛争や、気候変動によって北極海の海水が溶けてきたことによる船舶の通航の増加と海洋環境保全の両立のあり方などが研究対象です。この研究の一番楽しい部分は、研究対象について常に新しい発見がある点です。しかも、発見のきっかけは、海外での学会中の議論やゼミで大学院生と議論している時のふとした一言などいろいろあるので、面白いです。

―今学期で担当している講義は

 学部生向けの授業としては、「海洋法」という講義と国際法の演習科目を担当しています。「海洋法」の授業では海洋法の全体像を英語で講義しています。例えば、領海や公海、排他的経済水域といった高校までの社会科でなじみのある制度について、どのような国際法の規則の下で国家間の権限の調整が図られているのかをより専門的な視点から説明しています。演習科目は日本語と英語でそれぞれ一つずつ開講しています。日本語での演習は海洋法の講義を掘り下げるような内容で行っており、英語での演習は具体的な問題を取り上げて議論しています。法学の分野は抽象的でどうしても無味乾燥に感じられることがあるので、時事問題などとの関係を取り上げて、より関心を持ってもらえるように意識しています。

―どのような外交交渉に参加しているか

 現在、国連で開催されている「国家管轄権外区域の海洋生物多様性(BBNJ)の保全と持続可能な利用に関する政府間会合」という条約交渉に、日本代表団のアドバイザーとして参加しています。多様な政治的・社会的・文化的背景を持つ世界中の国々が集まって合意に到達することの難しさを改めて実感しています。外交交渉に取り組む上では、交渉中に次々と出てくる国際法の論点について迅速かつ的確に助言できるように心がけています。また、人と人とのつながりも大事にしていて、会議の前後に各国の代表にはなるべく話しかけて情報交換を行うようにしています。

―日本の若者が世界で活躍するためには

 実際に日本の外に出てみないと得られない刺激や感覚があるはずなので、海外に関心のない人ほど、まずは自分の目で世界を見てほしいです。今年度は難しいですが、東北大学では短期や長期の留学プログラムが充実しているので活用してほしいと思います。

―法学部志望の高校生には学問に対するどのような姿勢を求めるか

 法学は、さまざまな立場の人や国が共存する社会で発生する問題について、ルールの適用を通じて解決を図る方法に関する学問です。そのため、国内・国外を問わず社会に存在する制度やルールについて、その存在理由や根拠を考えてみてもらえると良いと思います。

―高校生にメッセージを

 新型コロナウイルス感染症により、困難が多い時代になりつつありますが、社会の課題がより明確になって取り組みやすくなったり、社会に元々求められていた変化が加速したりしている側面もあると思います。若い感性に基づく変化が受け入れられやすい、よりダイナミックな世界が待っていると思いますので、負けずに頑張ってください。 

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