【一言居士】-2021年1月ー空気がなくなる日
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1910年、古来より災いの前兆とされてきたハレー彗星が地球に接近し、「尾に含まれるシアン化化合物により地球の空気が5分間なくなる」という噂が一世を風靡した。酸素を確保するために氷袋や自転車のチューブが飛ぶように売れ、富裕層による買い占めも起こった▼この出来事を、科学や一般市民への教育が未熟な時代の過ちと笑えようか。我々にも耳が痛い話だ▼新型コロナウイルス感染症の流行と共にデマが飛び交ったのも記憶に新しい。「トイレットペーパーが品薄になる」というデマは現実のものとなり、大きな混乱をもたらした。明治期以降、科学はめざましい進歩を遂げ、人々の教育水準も向上したが、混迷の渦中で自己の利益を優先する人の心根は変わっていないようにみえる▼1月14日は、最初にハレー彗星出現を予言したエドモンド・ハリーの命日である。彼は自ら予言したハレー彗星を見ることなく亡くなったが、あのような騒ぎになるとは思っていなかっただろう▼次にハレー彗星が接近するのは2061年。ハリーにもうデマ動じない人類の成長を見せたい。
(文責・藤井)