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復興への意識 オンライン討論 〜「被災者」扱いに戸惑いの声も〜

 福島県白河市出身の大学生を中心に構成される学生団体「Shirakawa Week 実行委員会」は3月17日、オンラインシンポジウム「復興・創生を『背負わされてきた』子どもたちの現在と未来」を開催した。白河市出身の大学生から震災への向き合い方についての問題提起がなされ、防災や復興に関心を寄せる大学生4人による意見交換が行われた。



【復興、被災地若者に負担】

初めに、白河市出身で東京大3年の小林友里恵さんが、震災と関わってきた自身の経験を語った。大きな被災をしていない立場でありながら、復興人材として福島に貢献することを要求されてきたと語り、「プレッシャーだった」と振り返った。また、海外の学生と東日本大震災の被災地を訪れ、防災について考える分科会を運営するなどの活動をするも、復興に貢献できていないのではないか、という無力感があったという。その一方で、復興活動ができなくなってしまったときは後ろめたさがあった、と葛藤を打ち明けた。


 専門家の立場から、東京大学大学院教育学研究科の山名淳教授も参加。被災の当事者とその周囲の人々にもさまざまな立場があるという考えを提起した。一方で、震災の記憶を正確に共有できないという点では、誰もが震災の当事者であると主張し、語り得ない経験を互いに受け入れつつ語り継いでいくことを促した。


【震災の捉え方、立場で相違】

 パネルディスカッションでは、登壇者一人一人が自らの経験を交え、震災について語った。特に、復興を「背負わされてきた」という認識については各々の意見が交わされた。


 福島県富岡町出身で、現在語り部として活動している福島大3年の佐藤勇樹さんは、人による震災の捉え方の違いを指摘。「背負わされてきた」という意識の強さは人によって異なると考察し、今後語り部をするなかで「震災との向き合い方を整理したい」と決意を述べた。筑波大3年の松浦奈々帆さんは、自身の復興大使としての経験をあげ、「先生に勧められて始めたことだが、活動に対しては前向きな気持ちだった」と率直な所感を語った。


「被災を経験した人は、被災者としての規範的な振る舞いを無意識に自分に課しているのではないか」。災害経験の伝承に関心を抱き、神戸の災害をテーマにパネル展やインタビュー企画を行う、国際基督教大4年の佐藤海士さんが問いかけると、登壇者は「自分たちも、インタビューされたときはいいことを言わなきゃ、という意識があった」「語るべきことを迫られていたかも」と共感を示した。


シンポジウムでは、配信の視聴者からリアルタイムで質問や感想を募集。「物理的被害だけでなく精神的ダメージもあり、何をもって被災者とするかが難しい」「未来を視野に入れて復興をしている以上、若者の力は必要だが、過度な負担を求めてしまってはいけない」といった意見が寄せられた。登壇者らは寄せられた感想についても向き合い、視聴者とも議論を深めた。

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