【TBCラジオNEWNEWS合同取材】ラジオ✖学生新聞 復興、防災取材で東松島へ
震災から11年 新たな可能性
TBCラジオ『NEWNEWS』に3月28日、学友会報道部の3名が出演した。NEWNEWSは、お笑いコンビのニードルが独自の視点でニュースに切り込む番組。報道部は以前より『ニュースの皮むき』というコーナーで、ラジオと学生新聞の二つの視点からニュースを読み解く企画に参加してきた。この記事では、放送された取材を学生新聞視点からお届けする。(田中芙郁)
今回の企画は、報道部とNEWNEWSが同じ対象を取材。実際の制作を通して、ラジオと学生新聞の切り口や表現方法の違いを感じながら、「震災からの復興」や「地域防災」について伝える。3月7日、東松島市にある「松栄フルーツセンター」と「KIBOCCHA(キボッチャ)」を、同市出身のニードルとともに訪れた。
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初めに訪れた松栄フルーツセンターはみかんやいちご、りんごなど、多くの種類のフルーツをはじめ、漬物やお菓子も豊富に取りそろえている。併設の飲食店では、丼ものやさまざまな種類のおにぎりから、うどん、そばといった麺類まで、手作りの優しい味を楽しめる。取材当日に開店から50年を迎えた店舗は、東日本大震災の津波で約70センチの浸水被害を受けた。しかし、今もなお年季の入った看板や昔懐かしい広告が掲げられ、長い間この場所で愛され続けていることを感じさせる。
夫とともに店を営む松浦まゆみさんは「震災を受けてお店をやめようかと思ったが、地域のお客さんの声で続けることを決意した。店を継ぐ息子たちと一緒に、新しいことも始めながらこれからもお店を続けていきたい」と話す。
店主の妻、松浦まゆみさん。 「お店を続ける中で、新しいこと も始めてみたい」と意欲を見せる =松栄フルーツセンター |
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次に訪れたキボッチャは、津波被害で廃校が決定した旧野蒜小学校を防災体験型宿泊施設に改装している。アスレチック感覚で防災について学べる全天候型プレイルームと、砂や竹を使った制作ができる制作室のほか、大浴場と食堂、屋外バーベキュー場もあり、大人も子どもも、地域の人も観光客も楽しめる施設だ。団体向けには、ロープワークや簡易担架の作り方など、災害時に身を守るための講習を行い、過去の地震について学べる展示も公開している。
館長の千葉耕史さんは「当初は、学校を使って何をするのかと、被災地での商売を快く思わない地域の方もいた。追悼式をやってほしいという声が出たことで、地域の人に受け入れられたと感じた。震災だけでなく観光の要素も取り入れ、また来たくなる施設づくりを目指したい」と語った。
説明をする館長の千葉さん(左)と取材陣。 職員室の中にあった黒板には欠席が1名 =キボッチャ |
施設では砂像(サンドアート)の彫刻家の保坂俊彦さんにも話を聞いた。保坂さんは、宮城県東松島市地域おこし協力隊としても活動。「はじめは遠巻きに見ている方もいたが、作品ができあがっていくうちに地域の方々との会話が生まれた。砂の種類や凍結など条件の難しさはありますが、自然の中で作る良さです」と話す。
キボッチャで砂像を制作する保坂俊彦さん。 宮城県東松島市地域おこし協力隊としても活動している =キボッチャ |
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震災から11年が経ち、新しい可能性を見せはじめている東松島。次の10年、東北の地域がどのように復興し、どのような発展を遂げていくのか。これからがますます楽しみだ。