【深田歩の密着!学食バックヤード】 〜第2弾「Bee Arena Café編」〜 手のかかる「うちのお嬢様」
スタッフが、「焼肉のっけ丼」の具材を鍋で炒めている。杜ダイでは炒める作業にスチコンを使っていたが、こちらは手作業なのか。理由を尋ねると、こう返された。「プリンはうちのお嬢様だから、邪魔するわけにはいかない」。Bee Arena Café(ビーカフェ)の看板メニュー、「Beeプリン」。13年前の開店当初から、毎朝手作りされている。その調理風景に密着した。(深田歩)
分量、温度、時間 全てに気を使う
午前9時30分。筆者が厨房を訪れたときには、既にスタッフがせっせと材料を用意していた。
大量の牛乳と、卵、そして砂糖。大きなボウルに材料を入れ、ホイッパーでよく混ぜる。香りづけのバニラエッセンスを加え、ザルでこしたら、プリン液が完成する。
プリンの製造工程はいたってシンプル、混ぜて蒸して冷やすだけの単純な工程だ。だが「簡単ではない」とスタッフは話す。少しでも材料の割合が変わると味が変わってしまうので、準備の段階から気を遣う。
器に卵液を注いだら、天板に並べて、スチームコンベクションオーブン*で加熱する。蒸し料理だが、別でお湯を用意することはない。スチコンの「スチ」の部分が、完璧に仕事をしてくれるのである。
15分加熱したあと、5分余熱で火を通す。この余熱が、実は肝心。「5分待たずにオーブンを開けちゃったら、全然固まっていなくて。商品にならなかった」。以来、注意するようになったという。
スチコンから取り出したプリンを、氷の上に並べて急冷。粗熱が取れたら、冷蔵庫に入れて50分ほど冷やす。
冷蔵庫から取り出したばかりのプリンを、一口いただく。とろとろの舌触りに、もう完成かと勘違いしそうになるが、あとひと手間かけるのがビーカフェのメニュー。クリームとカラメルのトッピングも忘れない。
完成したプリンが保冷ケースに並べられたのは午前11時ごろ。作業が始まったときには随分朝が早いように感じたが、存外、11時15分の開店時間ぎりぎりである。
*スチームコンベクションオーブン(スチコン)
「焼く」以外にも「炒める」「蒸す」といったさまざまな調理ができるオーブン。
ココに注目!おかずにもひと手間を
「メガ鶏天」に使用する肉は、一枚一枚手作業で切れ込みを入れ=写真=、厚さを均一にしている。1日に開く鶏肉は100枚。手間はかかるが、「その分おいしい。それで来てくれるお客さんを大事にしたい」とスタッフは語る。