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【模擬講義】災害科学国際研究所 村尾修教授 「関東大震災から100年:災害と都市の復興」

 大学祭2日目、模擬講義「関東大震災から100年:災害と都市の復興」が開講された。講師を務めたのは、都市防災や都市脆弱性評価などを専門とする、本学災害科学国際研究所の村尾修教授。講義テーマを選んだ理由について、村尾教授は「東日本大震災を経験した方が多く受講すると予想した。また今年は関東大震災から100年という節目の年だ。多くの方に興味を持ってもらえるのではと考えた」と語った。


教壇に立つ村尾教授



講義ではまず、都市と災害の関係を歴史的事例から振り返った。1990年代頃まで、都市防災で想定されていたのは都市大火だった。明暦の大火の後、延焼を防ぐために作られた火除け地や広小路などが対策の例だ。



 都市災害のリスクは、加害要因としての自然現象である「ハザード」と、災害の受けやすさを示す「脆弱性」によって決まる。ハザードは制御できないのに対し、時間・物的環境・人的活動によって決まる脆弱性は制御できる。そのため、都市災害リスクの抑制には、都市の脆弱性を制御することが必要だ。また、村尾教授は「リスクが全くないということはありえない」と強調し、「リスクの大きさを意識して、戦略的にリスクをとることが重要だ」と語った。この考えは、町づくり以外に人生戦略などにも応用できる。



 都市は、被災する度により高い防災性能を確保することを繰り返し、変化してきた。東京も同様であり、関東大震災により甚大な被害を受けた後、区画整理や同潤会アパートの建設など、さまざまな都市改造が行われた。村尾教授らの研究により、実際に東京23区で住宅倒壊危険度が低下したことが明らかになった。



 今後の課題は、平面的な防災計画だけでなく、都市の高層化に対応した3次元での計画を検討することだ。村尾教授は「東日本大震災後、一般の人々にとって災害がより身近なものになったのでは」と指摘した。都市と防災を取り巻く状況は刻一刻と変化しており、状況に合わせた対応が必要となる。



 受講した保護者は「建設業に携わっており、元々復興に関心があった。非常に興味深い内容だった」と感想を述べた。受講者は、国内外の事例を通し、都市防災の歩みと今後について理解を深めた。

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