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【研究】営々たるビタミン研究 進取の精神つなぐ

 本学農学研究科農芸化学専攻栄養学分野は1950年からビタミンの研究を進めてきた。同分野の白川仁教授と大崎雄介准教授に沿革や今後の展望を聞いた。     (小滝真悠)



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 本研究室は、初代教授である有山恒教授(1950~63)の頃から伝統的にビタミン研究を進めてきた。当初は「生活科学科・栄養科学講座」という名称で、栄養士を育成する家政学科的な立ち位置だった。新制大学発足の流れで60年に「食糧化学科・栄養化学講座」へ引き継がれ、ビタミンやタンパク質の研究が本格的に始まった。その後の木村修一教授(1971~93)や古川勇次教授(1994~2002)も研究対象を広げながらビタミン研究に着手した。



 現在、同研究室で教授を務める白川教授の主な研究対象はビタミンKやビオチンだ。




 ビタミンKは学生時代に初めて与えられたテーマ。ヒトは誕生直後、ビタミンKの欠乏状態にあり、血液凝固因子の活性化がされないため出血が起きやすい。現在は予防用のシロップが開発されている。



 ビオチンに関しては、動物実験と細胞実験のデータから、高用量のビオチンが精巣中のテストステロン産生を上昇させる可能性を報告した。



 大崎准教授は心不全時に腎機能が低下する機構について研究を進めている。先行研究では、心不全患者が入院中に腎臓病を患うと生命予後が悪いとわかっている。別の先行研究では、腎臓の動脈と静脈両方の血流を遮断した後に再開通させる際、ピリドキサミン(ビタミンB6の一種)が腎障害の改善に効果的だと報告している。



 大崎准教授は、ピリドキサミンが静脈血流のうっ滞による腎障害にも効果があると考えて研究を進めている。心臓は正常な状態と設定して実験を進めており、ピリドキサミンの投与による改善効果が期待できるデータが得られつつあると大崎准教授は話す。


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 ビタミンが世界で初めて発見されたのは、食糧が不足していた100年以上前。飽食の時代と言われる現代では、健康寿命と平均寿命の差を縮めることが目標だと白川教授は話す。ビタミン研究の蓄積は大きいが、その分「古い」と言われる可能性もある。「それでも、新規の機能を見つけて食品と健康の因果関係を明らかにしていきたい」と教授は話す。

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