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【書評】『勘違いが人を動かす 教養としての行動経済学入門』エヴァ・ファン・デン・ブルック、ティム・デン・ハイヤー

 「論理」よりも

 「情熱」よりも、

 「人を動かすもの」

 それは、当たり前のように見えてしまい、普通の人はわざわざ考えようとはしないだろう。

 実は人の行動は、日常のさまざまな場面で自然に誘導されているようだ。著者は「一見すると小さなことが人の行動に大きな影響を及ぼす現象」を「ハウスフライ効果」としている。このような現象は人の先入観や思い込みといった「勘違い」が原因とされ、「認知バイアス」と呼ばれている。そう、「認知バイアス」が人を動かしているのだ。本書は、認知バイアスの種類、科学的知見、そしてこれらを効果的に使用した実例を紹介している。

 本書の中で、人を動かす71の認知バイアスが登場する。日常や社会にはこんなにも認知バイアスがあふれていることに驚かされる。紹介されている例には、マーケティングや制度設計などに生かすことのできる実用的な内容も多い。自分の選択や行動を思い出しながら読み進めていくと、日常に潜む「仕掛け」を解いているような気分になる。

 人は合理的かのように見えて、現実には非合理的な選択も数多くしてしまう。その背景にあるメカニズムを捉えることで、より良い意思決定への理解につなげることができる。本書を通して、行動経済学の実用性と学問的面白さにも触れることができるだろう。行動経済学はマーケティングや組織マネジメント、金融、公共政策などあらゆる場面に応用されており、学生だけでなく社会人にも有用な一冊といえよう。

 これまで本書の概要と、ぜひ読んでほしい理由を述べてきた。だが、読むかどうかを決めるのはあなたの自由だ。ちなみに、この表現は「BYAF効果」と呼ばれるらしい。   

【書誌情報】

エヴァ・ファン・デン・ブルック、ティム・デン・ハイヤー 著、児島修 訳

『勘違いが人を動かす 教養としての行動経済学入門』

ダイヤモンド社 刊

書評 7198063861258296105
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