【一言居士】━2026年6月号━
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今年4月、岩手県大槌町は大規模な山林火災に見舞われた。焼失面積は約1630㌶に及び、町域の約8%を占める。人口減少が進む地方では、一人当たりのインフラ維持負担が重い。地方における災害時の復旧力の弱さを再認識させた
今回の火災では約3200人が避難対象となり、町人口の約3分の1に影響が及んだ。道路や通信網も一時機能不全に陥り、地域経済への打撃も避けられない。小規模自治体ほど、災害による損失は地域全体の存続問題へ直結する
大槌町は、井上ひさしの『吉里吉里人』の舞台モデルとして知られる。作中では、東北の寒村が日本からの独立を宣言し、地域通貨や独自制度による自治を進めていく。しかし山火事によってあらわになったのは、小規模自治体が災害に単独で耐えることの難しさだ
『吉里吉里人』が描いたのは、地方の自立だ。しかし今回の山火事は、その理想だけでは地域を支えきれない現実を浮き彫りにした。人口減少と災害が進む中、地方の自立は、防災や復旧まで含めて問われている。(文責・小宮正希)
