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【研究成果】腎性貧血のモデルマウスを開発

本学大学院医学系研究科の山本雅之教授(東北メディカル・メガバンク機構 機構長)、山嵜瞬研究員、鈴木教郎講師らは、慢性腎臓病で併発する腎性貧血のモデルマウス開発に成功した。



腎性貧血とは糖尿病や高血圧などの生活習慣病によって引き起こされる慢性腎臓病により、腎臓で十分な量の赤血球を作るために必要なホルモンである「エリスロポエチン(EPO)」を作ることが出来なくなり、重篤な貧血となることを指す。患者数は国内だけで1330万人と考えられており、成人の8人に1人が抱える国民病となっている。しかし、モデル動物などの研究材料が不足しており病態が解明されておらず、未だ効果的な治療法は開発されていない。現在は、遺伝子組換え技術により生産されるEPO製剤の投与による治療が一般的である。

今回の研究では遺伝子組換え技術により、腎臓でEPOを作ることの出来ないマウスを作成した。EPOは胎児では主に肝臓でつくられるが、成人すると主に腎臓から分泌されるようになる。このモデルマウスは、肝臓からのEPO分泌量を維持したまま十分な赤血球量を持って生まれてきた。しかし、その後腎臓が主要なEPO分泌臓器に切り替わると徐々に赤血球量が少なくなり、赤血球数が正常なマウスの4割ほどまでに低下し、重篤な貧血を発症した。これに伴い心臓の負担が増えるため、心肥大が観察された。このマウスにEPO製剤を投与すると赤血球量が増加し、貧血が改善した。またこのマウスの解析から、腎臓に多数存在する線維芽細胞の多くがEPOを作る能力を有するものの、ごく一部の細胞だけが実際にEPOを作っていることが分かった。

このマウスを利用することにより、腎性貧血の病態解明が進み、効果的な治療法の開発が進むことが期待される。今回発見された、腎臓に多数存在するEPOを作る能力を持つものの休止状態の細胞から、EPO分泌を促進する薬剤の開発という新たな可能性を提示できた。またこのマウスを解析することで、貧血に伴う合併症との関連についての理解を深めることが可能となった。

山本教授は、「20年ほど前にEPO製剤の投与が始まってからEPOの性能が向上し、患者の方々の負担も軽減してきている。このマウスの研究が進めば、さらに良い貧血治療薬を作ることができるのではないか」と語った。

研究成果 9004893175994178867
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