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【イベント】俳優ジョージ・タケイ氏 講演会「変革の起こし方」

6日金曜日、日系アメリカ人ハリウッド俳優のジョージ・タケイ氏(George Takei)が本学川内キャンパスにて講演会を行った。タケイ氏は「スター・トレック」シリーズのヒカル・スールー役が有名。講演には留学生をはじめ、多くの人々が集まった。



タケイ氏は日本人の父と日系二世アメリカ人の母との間に生まれた。カリフォルニア州で幼少期を過ごしたが、第二次大戦が勃発し強制収容所に家族とともに連行された。5歳の時だった。移送当日、まだ幼い妹を抱きながら流した母の涙が今でも瞼の裏に焼き付いているという。

収容所での生活は過酷なものだった。しかし困難な状況に置かれても短い時間でそれが「普通」だと思える子供の適応力はすごい、とタケイ氏は言う。とはいえその頃から、幼いながらも差別というものを意識し始めていたそうだ。

戦争が終わり、家族は生まれ故郷のロサンゼルスに戻ったが、全てを失った彼らはスラム街での生活をよぎなくされた。まもなくして、両親がはじめた仕事が軌道にのり、一応の安定した生活ができるようになった。一方でアメリカ国内では終戦後も人種差別が色濃く、学校に通うタケイ氏も教師から無視されるなどの経験をした。この頃タケイ氏は、自身が同性愛者であることを自覚するようになったが、それが世間一般ではおかしなことだと悟り、誰にも打ち明けることはなかった。

学生時代、ゲイバーに通い始めるようになった。しかし当時はまだ同性愛者への偏見が強く、ゲイバーを始めとする同性愛者のコミュニティは警察の取り締まりの対象となっていた。「自分が唯一リラックスできる場所が失われることに憤りを感じていた。各地では同性愛者の権利を訴える運動が起こっており、それに参加しようとも思った。だが自身の俳優としてのキャリアを守るため、私は本当の自分を隠し、嘘の自分を演じていた。」とタケイ氏は語る。

しかしそんなタケイ氏の考えを一変させるできごとが起こる。カリフォルニア州で可決確実とされていた、同性婚を認める法案が州知事の鶴の一声で否決されたのだ。「一人の拒否が、大衆の想いより強い。そんな民主主義があってたまるか、と思いました。同性愛者への偏見は人種差別となんら変わらない」。

それを機にタケイ氏は自身が同性愛者であることを世間に告白し、現在に至るまで様々な運動に参加するようになった。活発な運動の甲斐あってか、ついに裁判所が同性婚を認める判決を下した。「行動しなければ何も変わらない。それは民主主義でも同じ。人々が活動に参加することで民主主義はより良くなっていく」とタケイ氏は講演を締めくくった。

質疑応答では、日本ではまだ同性婚は認められていないことについての質問がなされた。タケイ氏は、変革とは時間がかかるもので、まずはしっかりとしたコミュニティを築いていくことが重要だと述べた。そしてゆっくりかつ確実に、人々に訴えかけていくことが望ましいと語った。

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