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【研究成果】青色光に殺虫効果 ~本学農学研究科が新発見~

 本学農学研究科の堀雅敏准教授をはじめとする研究グループが、青色光の昆虫に対する致死効果を発見した。「光は波長が短いほど生物に有害である」という通説を覆し、効果が最も大きい波長は少なくとも昆虫の場合、種によって異なることを確認した。
 堀准教授らはまずキイロショウジョウバエを対象として、波長378㎚~732㎚の範囲で異なる12種類の光と白色蛍光灯、暗闇(全暗)の計14種類の条件を準備した。光強度(光量子束密度)はそれぞれが太陽光に含まれる青色光(400㎚~500㎚)総量の3分の1程度。これらを蛹の期間中に照射し続け、どの程度羽化または死亡するかを調べた。
 結果として蛹の死亡率は用いられた光のうち一番短い波長378㎚の紫外光ではなく、467㎚の青色光で最高となった。次いで波長440㎚の青色光で高く、間の456㎚の青色光においては378㎚の紫外光よりも低かった。
 また、光強度を上げると、508㎚以下の波長下ではいずれも致死率が上昇したが、それより長い波長では上昇しなかった。「光を強めると短波長では有害で、長波長ではそれほど有害ではないのは通説と同じだった」と堀准教授は話す。
 続いてキイロショウジョウバエが属するハエ亜目と近い種にも同様の効果があるか研究が進められた。カ亜目のチカイエカの蛹に対し、青色光である波長404㎚~467㎚の範囲で異なる5種類の光と全暗の条件で致死率を調査。するとチカイエカでは、キイロショウジョウバエと異なり波長417㎚の光のみにおいて特異的に高い致死効果が表れた。また光強度を変えて実験を行った結果、100%の致死率を得るためには太陽光に含まれる青色光総量の1・5倍以上強い光を要することも分かった。
 次に堀准教授らは「亜目ではなく、目が異なる種ではどうか」とコウチュウ目のヒラタコクヌストモドキを対象に。目が異なるため、チカイエカよりやや広い波長404㎚~532㎚の範囲の光を蛹へ照射した。その結果、太陽光の5分の1程度の光強度でもほとんどの波長の光で100%の致死率を示し、特異的な波長は特定できなかった。光強度を下げての調査が現在行われている。

 堀准教授らは今後、調査対象の生物種をさらに広げ、今まで調べてきた昆虫についても成長過程ごとの効果的な波長を吟味するという。同時に殺虫機構の解明にも意欲を示す。植物の施設栽培への利用をはじめ、実際の応用を試すことも計画中だ。「研究が進めば、農業や衛生環境などの害虫防除に大きな進展が期待できる」と堀准教授は語った。
研究成果 890594045403458867
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