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【とんぺー生の台所―⑥】 「かつどん家」


 目印は大きな黄色い看板。店の前には「かつどん」と書かれたのぼりがたなびく。道行く人が思わず振り向いてしまうような外装は、閑静な住宅街でも存在感十分だ。とんぺー生の台所、今回はかつ丼専門店、その名も「かつどん家」を訪れた。
 
 場所の説明は少々複雑。川内キャンパスを下り大橋を渡ったところで右折、それから200メートルほど直進し、突き当りで左折したところに位置する。まさに知る人ぞ知る名店といったところだ。

 「かつ丼専門店なんて聞いたことがなかったから、面白いんじゃないかと思ったんだ」と陽気に語るのはご主人の松浦仲(とおる)さん。2000年のオープン以来、奥さんの辰子さんとともに夫婦二人三脚でお店を切り盛りしてきた。
 
 カレーや定食など充実したメニューの中で、一番人気は何と言っても「かつ丼(650円)」だ。注文すると、辰子さんが厨房の仲さんに内容を伝える。それを聞いた仲さんは真剣な眼差しで肉と向き合い、丁寧に小麦粉、卵、それからパン粉をまとわせる。暖簾を隔てた厨房で繰り広げられる光景からは職人の気品が漂ってくる。
 
 辰子さんが運んできてくれたかつ丼(写真)は「美しい」という表現が最適なビジュアル。丼を覆うカツの上にかけられた卵の、白身と黄身のバランスが素晴らしい。まさにお手本のようなかつ丼である。口にすると半熟の卵がとろっ、端の衣がさくっ、つゆをたたえたカツがふわっ。とろっ、さくっ、ふわっの三重奏が至高のかつ丼であることを物語っている。つゆは一からの手作りで無添加。カツオと昆布の出汁が効いた優しい味わいだ。
 
 この味を求めて部活帰りの学生が集う。評定河原練習場のすぐそばだということもあり、客の8割は学生だ。テーブルは4人掛けのものが4つのみなので相席になることもしばしば。それでもここで会ったが何かの縁とばかりに、他愛のない会話に花が咲く。そんな雰囲気が、ここにはある。
 
 「知力こそが世界を救うのだから、優秀な東北大生は宝だよ」と仲さん。「そんな彼らを見守っている存在でありたいよね」と辰子さん。ならば、東北大生にとってここ「かつどん家」こそ大切な宝物である。

住所 仙台市青葉区大手町6-8
営業時間 11:00~23:00
定休日 月曜日
TEL:022-264-5211

※この記事は2012年5月に掲載したものです


とんぺー生の台所 5751856818300385205
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